スマホに使われているセンサー、徹底解説しちゃいます

GIZMODO / 2020年7月12日 23時0分

foq5hnftxpuaivds9ue1 Image: iFixit

現代の魔法を成立させる秘密、小さなセンサーたち。

皆さん、スマホがなかった頃の生活を思い出せますか? というくらい、スマホは私たちの生活に不可欠なものになりました。電話、カメラ、ビデオカメラ、コンパス、歩数計、ゲーム機…日常に必要な機能はほぼ何でもそろっています。100年前の人から見たら、もう魔法そのものです。今回は、そんな魔法を支えている秘密に迫りましょう。

スマホは、驚異的な技術の集大成です。いくつものガジェットがあの小箱に詰まっています。そして、高度な技術の多くを支えているのは、多種多様なセンサー技術です。でも、どんなセンサーがあって、実際にどんな機能をはたしているのか、ご存じですか?

スマホはどうやって歩数をカウントし、フィットネストラッカーの代わりを務めているの? GPSはデータをどう使っている? 次の端末を買うとき、なくてはならないのは、どんなセンサー?

そんな疑問にお答えします。

加速度計(加速度センサー) el4fibf8uswamxq34tdh Image: Snapchat Snapchatがユーザーの移動を認識できるのも、加速度計のおかげ

加速度計は、測定軸に基づいて動きを感知するしくみで、フィットネストラッカーやスマホに利用されています。専用のウエアラブル端末を使わず、スマホだけで歩数がカウントされるのも、加速度計があるからです。

端末がどちらを向いているかという情報も取得します。この機能は、拡張現実(AR)アプリが出現するようになって、ますます重要になってきました。

名前でわかるとおり、加速度計は加速度を計測します。車を運転しているとき、Snapchatのマップで自分のアイコン(Bitmoji)の位置におもちゃのような車が表示されるのも、加速度計の機能です。そのほかにも、便利な機能の多くが加速度計によって成り立っています。

加速度計そのものも、複数のセンサーで構成されています。微小な結晶構造もそのひとつで、加速がかかるとこの結晶構造に外圧がかかります。加速度計は、結晶から発生する電圧を感知して、スマホが動いている速度や向きを算出するわけです。

アプリの縦方向と横方向を切り替えられたり、カーナビアプリで現在の速度が表示されたりと、加速度計はスマホに搭載されたセンサーのなかでも特に重要な存在と言えます。

ジャイロスコープ(ジャイロセンサー) ttxwujucvgeobmsnc6ha Image: Asphalt 多くのゲームが、スマホのジャイロスコープを利用している

ジャイロスコープは、スマホがどの方向で置かれているかを検出するという点で、加速度計を補助しているとも言えます。ただし精度が大幅に高くなるので、こんな360度全周の見事な動画撮影も可能にしてくれます。

スマホ版のレーシングゲームで、ハンドル操作として画面を傾けているときには、加速度計ではなくジャイロスコープがその傾きを検出します。スマホの向きがわずかに変化するだけで、スマホが移動するわけではないからです。

ジャイロスコープを利用しているのは、スマホだけではありません。飛行機の高度と位置を知らせる高度計や、移動中にカメラを安定させる装置にも使われています。さらに高度なジャイロスコープも開発されていますが、コンシューマー向けデバイスに利用できる現実的な価格に落ち着くまでには、まだ時間がかかりそうです。

スマホに内蔵されたジャイロスコープは、昔の飛行機で使われていたような機械式の高度計と違って、ホイールやジンバルを使っているわけではありません。微小な電気機械システムを使っていることから、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)ジャイロスコープと呼ばれています。

MEMSジャイロスコープが実際に初めて搭載されたのは、2010年に発売されたiPhone 4のときでした。当時は、スマホでこれほど高精度に向きを検出できるというのは驚異的なことでした。それが、今では当たり前の機能になっています。

磁気センサー snoe33v06ap9v55pn7xo Image: Gizmodo US スマホのコンパスアプリは、磁気センサーによって動作する

スマホの物理的な位置を計測する三大センサーのうち、最後にご紹介するのが磁気センサーです。これも名前から見当がつくとおり、磁場を計測し、スマホ本体に出力される電圧の差によって北がどちらかを示します。

AppleのマップやGoogleマップでコンパスモードをオンにすると、磁気センサーが起動し、マップの上がどの方角を向いているかがわかります。もちろん、単独のコンパスアプリでも磁気センサーがはたらいています。

磁気センサーは、金属探知器にも搭載されています。磁性金属を検出できるからです。スマホ用に金属探知器アプリが公開されているのも、そのためです。

ただし、地図アプリで方角を示す機能は、磁気センサーだけで成り立っているわけではありません。加速度計とGPSユニットのデータも加味したうえで、ユーザーの現在地がどこか、どっちを向いているか(詳細なルートナビゲーションで活躍します)を割り出すのです。

GPS zp49wufdb3vjcsw6hzax Image: Gizmodo US GPS衛星が、スマホの位置情報を伝える

というわけでGPS、全地球測位システムの出番です。GPSがなかったら、たちまち行き先がわからなくなります。人里離れた田舎道にほうり出されても不思議ではありません。電子マップばかりを当てにして、紙の地図を捨ててしまったことを後悔しても後の祭です……。

スマホに搭載されたGPSユニットは、宇宙に浮かぶ人工衛星からの信号を受信して、ユーザーが地球上のどこにいるのか(どこを運転しているのか)を算出します。スマホのデータはまったく使いません。だから、オフラインになったり、現在位置周辺のマップがぼけて低解像度になったりするような場合でも、位置は示してくれるのです。

実際には、複数の人工衛星からデータを受信し、交差する角度に基づいて位置を割り出しています。どの衛星も検出されない場合、たとえば屋内にいるときや、雲が厚いときには、現在位置が特定されなくなります。

また、GPSは確かにデータを利用しませんが、こうした通信と計算にバッテリーはかなり消費します。バッテリー節約のヒントを見るとたいていGPSをオフにするよう推奨しているのもそのためですし、スマートウォッチのように小型のガジェットがGPSを搭載していないのも同じ理由からです。

位置情報を割り出す手段は、GPSだけではありません。通信基地局からの距離からもおよその位置がわかるのだと、ポッドキャスト「Serial」で教わりました。ただし、厳密なナビゲーションが目的の場合には、やはりGPSが不可欠です。最近のスマホに搭載されているGPSユニットは、GPS信号のほか、基地局からの通信強度など他のデータも併用することで、さらに位置情報の精度を引き上げるようになっています。

生体認証センサー hkfgs3yrbvsxrdq6xdag Image: Qualcomm 指紋センサーはボタンから画面上に移行

現在販売されているスマホのほとんどは、ロック解除とログインのために指紋センサーか顔認証システムを搭載しています。こうした生体認証センサーを欺く手段もなくはありませんが、おおむねは安全です。何より、暗証コードやパターンを入力するよりずっと手軽です。

指紋センサーは、ハードウェアボタンから、オンスクリーン回路に移行しました。現在主流なのは、光学式(光で読み取る)、静電式(コンデンサーで読み取る)、超音波式(音波で読み取る)の3種類です。最も精度が高いのは超音波式ですが、価格を抑えた端末では他の2つが使われています。

こうしたセンサーも単独で機能するわけではなく、各メーカーともさまざまなソフトウェア技術やアルゴリズムを駆使して、指紋認識の精度を上げようとしています。Androidスマホの現在のハイエンドモデルでは、オンスクリーン指紋センサーの精度がハードウェアボタン上のセンサーとほぼ変わらない精度を実現しています。

iPhoneの上位モデルやPixel 4には、もちろん指紋センサーはありません。いずれも、またその他の機種でも、顔認証システムが導入されています。顔認証に使われる技術も多種多様で、廉価モデルでは通常のカメラレンズを使い、高解像度の写真でユーザーを認証します。

ハイエンドモデルになると、赤外線センサーでドットを使ってユーザーの顔を3次元にマッピングし、それをソフトウェアで読み取っています。ソフトウェアが高性能になるほど、ロック解除も高速になります。顔認証が成功したときは、まるで魔法のように感じられますが、画面の裏ではたくさんの技術が駆使されているのです。

その他、主なセンサー nvyqhchbfbtvgnawyiee Image: Sam Rutherford(Gizmodo US) Pixel 4には、独自のレーダーが搭載されている

ほかにも、スマホにはたくさんのセンサーが使われていますが、ここまでに紹介したセンサーと比べると、その役割はそれほど大きくありません。

Soli

ユニークなのが、Pixel 4とPixel 4 XLに搭載されているSoliセンサーで、これは基本的にレーダーモジュールです。端末の近くや上で動きを感知できるので、ジェスチャーでアラームを消音に設定したりできます。また、顔認証によるロック解除は、本体を持ち上げただけで起動します。

LiDAR

一方、Apple製品では、iPad ProシリーズにLiDARが採用されました。iPhoneにも遠からず採用される可能性があります。簡単に言うと、レーザー光によるスキャン技術で、たとえば部屋の奥行きをかなり正確に判定して再現することができます。これから登場するARアプリでの応用が期待されるところです。

U1チップ

それから、最新のiPhoneに採用されたU1チップがあります。これはセンサーというより通信アンテナに近いものですが、iPhoneを向けている位置と方向を読み取ることができます。最新iPhoneを含めて多くのスマートフォンが、気圧計も備えています。天候変化の予測から、現在地の高度計算まで、その用途は豊富です。

近接センサー

近接センサーは端末上部、スピーカーの近くにあるのが普通です。赤外線LEDと光感知器を組み合わせて、スマホを耳に近づけたときに画面をオフにする機能をはたします。近接センサーは、光を発してその反射を受信するしくみですが、もちろんその光は人間の目には見えません。

環境光センサー

最後にあげるのは、環境光センサーです。読んで字のごとく、室内の光を計測して、画面の明るさを自動的に調整します(もちろん、自動に設定している場合)。

まとめて紹介したその他の技術だけでもこれだけ詰め込まれているのは、センサーがどんどん小型化、スマート化し、電力消費量も少なくなっているからです。したがって、5年前のスマホと最新のスマホ、どちらもGPSを搭載しているからといって、精度が同じということはありません。ソフトウェアも性能が上がって最適化が進んでいるので、一定の間隔でスマホを買い換えるのには、それなりの根拠があるということです。それも、ご紹介した数々のセンサーが、縁の下の力持ちとしてがんばってくれているおかげなのです。

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