ラオス文字の起源を覆す石版=起源はタイ文字よりも古い?
Global News Asia / 2014年10月16日 16時2分
2014年10月14日、ラオスメディアによると、ルアンパバン(※)の寺院で保管されている石版にある年代には、ラオス文字がタイ文字よりも起源が古いものだとする学説が報じられた。
世界遺産都市ルアンパバンにあるウィスン寺で保管されている石碑に刻まれているラオス文字には、844年前の年号が記されているという。石版自体は2005年頃に発見されていたが、今回の報道により再び論争に発展する可能性もある。
一般的にタイ文字が成立したのはスコータイ王朝ラムカムヘン大王によるものとされている。現存するタイ文字が刻まれている石碑として最も古い、ラムカムヘン大王の石碑が建立されたのは1292年だ。しかし、このラオス文字で書かれた石碑はそれよりも113年古いということになるというのだ。
これまでスコータイ王朝隆盛期には、ルアンパバンも含む北部ラオスがその支配下にあったことなどから、ラオス文字は当時成立したタイ文字を流用したものだと言われてきた。
もともとタイ民族とラオ民族の起源は同じとされ、現在のチベットから中国の雲南省周辺から南下して来た。その名残りは、現在もラオス国境の街シーサンパンナ(西双版納)にタイ族が住んでいることでも明らかだ。また文字としての起源もクメール文字などと同じインドのブラフミー語の流れを汲むというのが学会の通説である。
民族の移動経緯から見ると、ラオス文字のほうがタイ文字よりも古いということは、理にかなっているように思われる。またクメール民族は、ラオ・タイ族とは別にインド洋経由で現在のカンボジアからラオス南部に定住したのち、アンコール王朝に至っていることなどから、起源を同じくするクメール文字は、ラオス文字やタイ文字とは違う経路を辿って来たのではないかと考えられる。
タイ語にはサンスクリット語やバラミー語が多く取り入れられているの対して、ラオス語に混在する外来語は、ごく近年に影響されたと思われるベトナム語などが見られる。また、タイ語に取り入れられたインド系言語には、母音文字が表記されないものが多いが、ラオス語では母音文字も表記するという特徴がある。
蛇足になるが、ラオス語ではタイとは民族あるいは人々を表す言葉であると言う。国号をシャムからタイへ変更した時に、タイという言葉に「自由なる人々」という意味が付け加えられた。ラオスやタイの山岳民族にタイダムやプータイなどの民族名があるが、それぞれ黒い人、山の人という意味になる。
※ルアンパバン=一般的に用いられているルアンプラバーンは、タイ語としての読み方であり、ラオス語ではルアンパバンが正しい呼称。
(翻訳協力:てっちゃんネット http://tetchan.net/)
【編集 : そむちゃい吉田】
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