【タイ】軍政による粛清後も何も変わらないプーケット
Global News Asia / 2015年1月13日 13時10分
2015年1月、クーデター後のタイ南部プーケットはどうなっているのか調査してみた。
2014年5月にクーデターで政権についた軍部によって、これまでにいくつかの観光地に巣くっていたボッたくり業者の粛清が行なわれてきた。プーケットはその先陣として、厳しい取り締まりを受けた。
それまで、プーケットのタクシーは、メーターを付けながらも使わずに、高額な料金を利用者に請求していた。またビーチでは無許可の業者が砂浜にイスを並べ、ビーチで過ごしたい観光客に利用を半強制していた。
その後、タクシーはマフィアと呼ばれる元締めが検挙され、不良運転手たちも摘発された。現在、空港タクシーはメーター使用が義務付けられ、運転手のマナーも向上した。
ビーチでは、浜を埋め尽くしていたイスは撤去され、わずかにパラソルとゴザを貸し出す業者が許可された。観光客自身によるイスの持ち込みのみ許され、ホテルなどから持ち込んでいる。だが正直、見た目では以前のほうが整然としていた。今のバラバラに立てられたパラソルは、雑然として景観を損ねている。
さて、メーターを使うようになったタクシーだが、料金的にはパトンまで約700バーツ(約2500円)。これに空港利用料100バーツ(約350円)が加算される。この金額は、取り締まり前とほとんど変わりがない。わずかに、1000バーツ(約3500円)以上と吹っかけられることがなくなったのみだ。リムジンタクシーの料金が800バーツ(約2800円)なので、全く変わりがない状態と言えよう。カタやカロンビーチに行くならリムジンのほうが確実に安くなりそうだ。
実際、一番メリットがあるミニバスは1社独占のためにすぐ埋まってしまい、結局はタクシーを使わざる得ない。また、ビーチとタウンの移動も500(約1700円)~800バーツ。夜中では1000バーツ以上と、これまでと変わっていない。
世界的な有名リゾートとなったプーケット。インドネシアのバリ島などのライバルと競うためにもと期待された取り締まりだったが、今回の摘発は、政権に近い業者へのお墨付きを与えただけのものだったのかもしれない。民間が先行していたボッたくり利権に官が入り込んで、官民一体で、島をボッたくりリゾートにしたとも言える。結果、利用者にとってはほとんどメリットはないという事態になっている。結局のところ、利権の再配分が行なわれたに過ぎないようだ。
残念なことだが、タイの政権争いが結局は利権の奪い合いでしかないという一面を浮彫りにした結果のようだ。静かで、もっとコストパフォーマンスの高いリゾートは、世界のアチコチにある。ただ高いだけの観光地となっているのがプーケットの現状だ。
金銭的なことを気にしないのであれば、それなりに快適に過ごせる。いまロシア人と中国人で賑わうパトンビーチを避ければ、静かでのんびりとできるビーチもある。だが、彼らロシアと中国からの観光客が途絶えた時にどうなるか。このままでは、結果は明らかなのではないか。もっと顧客の目線に立った利便性を実現しないと、このままではリゾート地としての地位は危ういだろう。
【執筆 : そむちゃい吉田】
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