【タイ】軍政、バンコク中心部で観光客誘致のパレード=その効果には疑問も
Global News Asia / 2015年1月15日 19時40分
2015年1月14日、タイの軍政は、昨年のクーデター後から落ち込んでいる観光客を呼び戻すため、バンコクの都心部で大規模なパレードを開催した。イベントは、タイらしさをテーマに地方ごとや、伝統を主題にした見せ物が山車とともに行進。観光客にタイらしさをアピールした。
昨年タイを訪れた外国からの観光客は、前年比6%ダウンの2471万人。この事態を受けた政府は、昨年末までに、これまでの主要な観光地だけではない、地方の観光地を紹介するとともに、今回のテーマともなったタイらしさをアピールすることで、観光客を取り戻したい考えだ。イベントに先立って、2015年の観光客予想は2836万人、1290億バーツ(約4640億円)の収益予想が発表された。第1四半期だけで755万人がタイを訪れるだろうと予想している。
しかし、今回のイベントにはいくつかの疑問を抱かざるを得ない。まずは平日に行なわれたこと、そして、年末年始のピークを過ぎていたことなどだ。
水曜日とは言え、通常のバンコクに暮らす住民にとって、帰宅時間に主な通りを通行止めにされた影響は大きい。このために、わざわざ遠回りした上に倍以上の時間をかけて、帰らざるを得ないサラリーマンも少なくなかった。そして、年末年始の観光客がほぼ帰ってしまったこの時期に行なわれたことで、訴求効果にも疑問が残る。
これは「タイらしく」思いつきで、急ごしらえなままに進められたのではないのだろうか、と思わざる得ない。確かに4月にかけての観光シーズンに向けるためにも、こうしたイベントは早い時期に行なわれるべきであっただろう。であれば、せめてバンコク庶民も足が運べる土曜か日曜に開催されるべきではなかったのか。そうすれば、タイ人のSNSによって、世界中に拡散されていたことだろう。記者自身も仕事が終わらずに、テレビを横目で見ることになってしまった。
バンコクに住む一市民としても観光客が増えることは望ましいし、こうしたアピールは欠かせないものだと思う。しかし、今回のイベント開催の経緯には、軍政ならではのゴリ押し的な印象を感じずにいられない。正論を言えば、まずは観光客を誘致したい地域だけでも、戒厳令を解除するべきであり、その上でこうしたアピールをするべきだろう。
観光客が減っている根本的な原因を直視しないままに、何度こうしたイベントやアピールをしてもその効果は限られたものとなるだろう。
【翻訳/編集 : KK】
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