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【カンボジア】全長2215メートルの「つばさ橋」まもなく開通―JICAカンボジア事務所

Global News Asia / 2015年3月4日 9時15分

つばさ橋は、1575メートルのアプローチ橋とメコン河を渡る主橋640メートルから構成されており全長が2,215メートルある。アプローチ道路を含めると全長で5.4キロメートルの長さとなる。プロジェクトマネジャー北田郁夫さん(三井住友建設)JICA提供。

 2015年3月1日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo42」に、4月に開通するメコン架橋「つばさ橋」(ネアックルン橋梁)の建設に携わったプロジェクトマネジャー、北田郁夫さん(三井住友建設)の紹介記事が掲載された。

 北田郁夫さんは、2011年1月にカンボジアに着任。まだ橋が影も形もなかった最初から、この地で大勢のスタッフたちと寝食を共にして建設に取り組んだ。つばさ橋は、1575メートルのアプローチ橋とメコン河を渡る主橋640メートルから構成されており全長が2,215メートルある。

 アプローチ道路を含めると全長で5.4キロメートルの長さとなる。主橋は、斜めに張ったケーブルが美しい斜張橋で、橋を支える主塔の間の距離が330メートルある。北田さんによると、コンクリート製の斜張橋としては、カンボジア最大であるだけでなく、日本最長の橋よりも長いのだという。

 北田さんらにとって最大の危険は2012年7月に発生した不発弾の爆発だった。主橋を支える河川内の杭を築造するために、土砂を吸い上げて排出する作業時に発生した。河床から10メートルほどの深さで対戦車砲が排泥管の中で爆発した。地中深くで、負傷者は出なかったが、工事を中断せざるをえなかった。橋の建設地付近には、1970年代後半にカンボジアを支配したポル・ポト派の弾薬庫があったという。工事前にすでに4,000発余りの不発弾を撤去していたが、それでも「負の遺産」は消えていなかった。工事はこのために4カ月近く中断され、北田さんたちはその遅れを取り戻すためにさまざまな対策を行なった。さらに工事は「水との追いかけっこだった」と、北田さんは言う。橋を架ける地点のメコン川の水位は、雨季と乾季とでは7メートルも差がある。杭工事の後に施工するパイルキャップという部分の施工は、乾季の間に工事をしないと、次の年の雨季明けまで1年間工事が出来ない状況になる。気の休まらない毎日が続いた。

 今、完成間もない橋を見て、北田さんは、「この橋は、バンコクからプノンペン、ベトナムのホーチミン市をつなぐ南部経済回廊の一部を形成します。カンボジア一国だけでなく、アセアン地域の発展に貢献できる仕事に携われたことがうれしい」「橋の完成を心待ちにしているという声を聞くと、人々の暮らしを良くするための仕事をしているのだと再認識しました。まさに市民のための技術者、シビルエンジニヤー(土木技術者)の原点に返る気がしました」つばさ橋の開通は、4月のクメール正月前に予定されている。

 2月19日に東京で開かれた「メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム」第5回会合に出席した、ソー・ケン副首相は、「近年、カンボジアは順調な経済成長を遂げていますが、今後は輸出依存から脱却し、産業の多様化と生産性の向上が必要であると考えます。日本のご支援により建設された「つばさ橋」、「きずな橋」、「日本カンボジア友好橋」は、大きな力です。さらなる経済成長のため、インフラへの継続的な投資と連結性強化が重要です。カンボジアの経済構造は農業中心ですので、カンボジア政府として官民が一体となって農業分野を中心に経済の活性化に取り組んで行きます。カンボジアは、特に交通、電気、情報技術・通信、農業分野において、日本からの更なる投資の呼び込みを希望しています」と述べた。重要なインフラ整備に、日本の国際貢献が確実に役立っており、大きな絆になっている。

【編集 : TY】

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