【タイ】戒厳令解除と暫定憲法44条 目的は国内の平定
Global News Asia / 2015年4月7日 11時0分
2015年4月7日、タイの報道によると、タイ軍政が戒厳令解除の代わりに掲げた暫定憲法44条の適応について、事実を歪めるメディアに対して権限を行使するとの見解を示したことで国内の平定が第一義であることが浮き彫りになった。
「各メディアがニュースを歪めずに、事実だけを報道するならば、私たちはその活動を妨げることはしない」タイ軍政プラウィット副首相兼防衛相がタイのメディアに向けて語った。
4月1日の戒厳令解除と同時に発布された検閲命令に関するガイダンスについて、タイメディアに答えたものだ。この命令の中では、国家の安全保障に関わる誤解やパニックを引き起こすと判断したメディアに対して、軍政にその閉鎖を含む権限が与えられている。
この件に対して「明確なガイドラインか条件がないならば権力の暴走に繋がる可能性がある」と、タイジャーナリスト協会と新聞評議会が連名でステイトメントを発した。また、それより前にも人権擁護団体などが、軍政トップ一人に権力の集中を許す事態に、大きな懸念を表明していた。
プラウィット副首相兼防衛相は、外国メディアに対しての対応を聞かれ「これはタイ国内の問題。私たちが平和に生きることが目的だ。この国が炎上し、人々が殺し合うような時に、外国が私たちを助けてくれるのか?」と答え、あくまでも国内の問題であることを強調した。
今回の戒厳令解除は、外国との交易や外交、そして観光業、経済界への配慮であり、目的は国内の平定という側面が改めて浮き彫りになった。タイを訪れる旅行者や外国籍の法人などに対して行使する意思はないと受け取っていいだろう。
戒厳令という言葉が足かせになって、渡航延期や自粛する国は日本だけではない。こうした国々からの外貨を呼び戻すことが第一目的ではある。問題はタイメディアが指摘するように、権力を持った者がいつまで自制していられるかということになってくる。
アセアン諸国では、こうしたタイの実情について一定の理解を示しているが、欧米では人権侵害を理由に理解が得られていないというのが実態だ。しかし、戒厳令という言葉の呪縛が解かれた以上、日本をはじめ、これまでタイへの進出を躊躇してきた企業や観光客が戻って来ることは、何よりもタイ国民が願っていることだ。
【翻訳/編集 : そむちゃい吉田】
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