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【タイ】「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」inチェンマイ3・意外に役立つ消火訓練

Global News Asia / 2015年4月12日 7時1分

ガスボンベにガソリンをかけて大きな火柱。

 2015年4月12日、シリーズ「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」を定期的にお届けする。JICAシニア海外ボランティアとして、チェンマイ大学医療技術学部作業療法学科で、指導に当たられている渡邊 邦夫さんに「意外に役立つ学部の消火訓練」について執筆してもらった。

 3月24日の夕方、チェンマイ市内は突風が吹き、露店のガスコンロにテントや看板のビニールが巻き付いて軽いボヤ騒ぎがあった。近くにいた学生たちが消火を手伝い大きな火事にはならなかったという。それから30分ほど激しい雷雨になり大気汚染も一段落した。

 そんな騒ぎがあったので2014年8月22日に3時間以上かけて行われた医療技術学部3、4年生を対象にした防災訓練を思い出した。

 まずは、12階の大教室で防災に関する講義。東日本大震災の津波の映像を使っていた。それから学部の前に集まり、はしご車を使って学部の8階からゴンドラを使った避難訓練。待機していた救護班が模擬負傷者を担架で運び出す。

 その日も午後から強い風が吹いていた。そんな中で消火訓練が始まった。まず灯油を入れた大きなトレイに火を付けて消火器で消す訓練。ここまでは日本でも良く見かける訓練だ。

 続いてガスによる火災を想定した消火訓練が始まった。これは4段階に分かれていた。いちばん最初はホースにつないだガスコンロで火災が起きたらボンベのバルブを閉める。2番目は火を吹いているガスボンベのバルブを閉じる。3番目は火を吹いているボンベのバルブに水をかけて火勢を弱めてからバルブを閉める。そして最後はボンベのバルブを開いて火を付け、ガソリンを振りかけて大きな火柱を作る。そこに消火器を持った学生が突入して消火し、バルブを閉じるという訓練。風が強かったので思いのほか炎と黒煙が高く巻き上がり、オレンジ色の服を着た消防署員が慌てて助っ人をするくらいだった。それでも無事に火を消すことができたので、周りで見ていた学生や教職員もやんやの喝采。

 チェンマイ市内では飲食店や家庭でプロパンガスを使うことが多い。露店などではボンベの上に直接ガスコンロを置くような器具を使っている。炒め物、揚げ物だけでなく、煮物や蒸し物などの調理の際に目を離すことがあり、火災が起きるのだと女性の先生が教えてくれた。

 それに加えて24日のような突風が雨の前によく吹く。そんな時に起きたボヤ騒ぎ。あの風の日の消火訓練はまるでショーみたいだったので、ホントに役に立つのか半信半疑だったが、まんざらでもないことが証明された思いだ。
【執筆/撮影 : JICAシニア海外ボランティア 渡邊 邦夫】

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