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【タイ】タイの徴兵抽選会場を見てきた

Global News Asia / 2015年4月11日 17時0分

郡役所と軍関係者が協力し合いながら抽選会を実施していたが、数千人規模になる大きな郡では早朝に集合しても、抽選会自体は深夜にスタートする。(高田胤臣 撮影)

 2015年4月9日、タイに隣接するサムットプラカン県の県庁所在地で実施された徴兵抽選の会場を見てきた。

 タイは徴兵があり、タイ国籍の男性は21歳で検査を受け抽選会に出席しなければならない。基本的にタイ国籍の男性すべてに課せられているが、学校や軍などが認定する軍事教練を履修しているなどで免除される。また、正当な事情や身体検査などで抽選が受けられなかった場合は29歳の年まで順延される。今年は1994年生まれが対象となり、最年長で1986年生まれまでが招集されていた。

 2015年度は4月1日から12日まで実施されており、全土で10万人ほどの新兵を集めるために各役場で割り当てられた人数をくじ引きで抽選する。黒を引けば免除、赤で2年間の兵役とされ、特に厳しいとされる海軍に当たってしまった若者はその場で泣き崩れたり、失神する者が続出する。

 兵役の2年間は定期的な休みで家族に会うことはできるが、それ以外は基地内の寮で過ごすことになる。生活費はかからないものの、月給は4000バーツ(約15000円程度)と安い。特に貧困層の若者などは一家の大黒柱として働く者も多い。そのため、抽選会場には彼らの家族や恋人も訪れ、くじ引きの結果に一喜一憂する。当然、兵役を免れたことに本人と家族は大喜びをするのだ。

 サムットプラカン県では4月7日から9日の3日間で開催された。連日1000人を超える若者が朝6時ごろから受け付けを始めていたが、くじ引きが開始されたのは深夜になってからだった。というのは、中には志願して兵役に就く者もおり、招集をかけた全員が揃って身体検査と志願人数を確認した上でくじ引きが始まるためだ。7日は9人、8日は100人の志願があったという。

 ちなみに、タイには性同一性障害による女装をした戸籍上の男性が市民権を得ていて街中ではよく見かけるが、政府の公式な書類などではまだ性別の変更は認められていないため、彼らも徴兵抽選会に招集される。しかし、身体検査で不適格と診断され、普通は兵役を免除されることになる。以前はその際に身体障害といった差別的な用語が公式書類に残されたため、その後の就職などに不利益になったが、現在は改善され、その他の不合格者と同じ扱いになった。

 12日まで徴兵抽選会はタイ全土で引き続き行われ、若者たちの一喜一憂は続く。13日から15日はタイ人が最も大切にする旧正月なので、このタイ新年がどうなるかがここで決まることになる。
【執筆 : 高田胤臣】

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