【タイ】音楽FM局がクロントイスラムで慈善イベント
Global News Asia / 2015年4月14日 11時0分
2015年4月14日、バンコクでかつて犯罪の巣窟とまで言われたスラム地区クロントイで、歌謡曲専門FMラジオ局「ルークトゥンマハーナコン」がリスナー感謝キャンペーンの一環として慈善イベントを4月9日に開催した。
バンコクでも日本人が多く住むスクンビット地区から南へ数キロのところに、かつてのスラム街がある。かつてはタイ人でさえ入ることをためらうほどだった地区も、NGOなどの活動が政府を動かし、今や見違えるようになっている。
クロントイ地区の雰囲気は、日本の古い団地といった感じだ。主催したラジオ局のDJの一人もここの出身だといい、現在ではこの地区から巣立ち、外交官になった女性や役所、大企業に就職している人も少なくない。
屋根付きの運動場で夕方から始まったイベントは、会場に食品ブースや医療ブース、散髪ブースなどが設けられ、それぞれ無料で支給された。また、職業訓練の相談も受付け、調理や散髪などの技術習得への取次ぎも行われ、全てが無料で習得できるという。タイ国内では、まだまだ格差が大きく、仕事や収入が無いが故の犯罪も多い。かつてのここクロントイがその最たるものであった。
主催者は「人はやりがいのある仕事に就ければ、無限の可能性を発揮できます。そして家族共々幸せを得ることが出来る。そのチャンスを一人でも多くの人に与える機会を増やしたい。ましてや、いつもラジオを聞いているリスナーには幸せになって欲しい」と語り、地域で長く活動するNGO団体への寄付金も贈呈していた。
イベント後半は歌謡歌手たちのコンサートとなり、次々と招かれた歌手たちがステージにのぼった。タイの歌謡曲の歌手たちには、やはり苦労して上り詰めた人たちが多い。
タイでは収入や学歴、出身地などで差別的な見方をする人が(特に高学歴、高収入の人に)少なくない。しかし、歌謡歌手たちはこうしたイベントに限らず、常に対等の姿勢と感謝の気持ちで接していいて、ステージから降りた後も、写真やサインなどを最後の一人まで応対することが多い。
また、こうした貧困層の人たちには助け合いの精神が強く息づいており、ボランティアで救急活動をしている人も多い。そして、かつての東日本大震災の際に、一日分の収入を丸々寄付する人もいたなど、多くの募金が集まったのもこの地区だ。
【取材/執筆 : そむちゃい吉田】
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