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【タイ】バンコクに暮らす低所得者層の子育て事情

Global News Asia / 2015年4月21日 9時0分

人口約6700万人のうち650万人以上がバンコクで暮らしていると言われる。それほど稼ぐチャンスもバンコクに集中しているということだが、実際にその恩恵を受けられるのは一部の人のみだ。(高田胤臣 撮影)

 2014年4月21日、地方からタイの首都バンコクに出稼ぎに来た農民などの低所得者層の子育て事情にスポットを当てたい。

 タイはここ数年で著しい経済成長を遂げているが、その恩恵を受けることができない層がまだまだあり、せっかく結婚して子宝に恵まれても一緒に暮らすことがままならない現実がある。

 タイは政府による補助などはほとんどないに等しいが、幸い、タイ人は子どもに優しい人々であり、家族愛に満ちた人種である。出稼ぎに来た者たちには故郷に帰る場所があり、収入の少ない夫婦は子どもを両親…つまり子の祖父母に預けて養っていく。

 タイは都会と田舎では物価が違うので、バンコクでは育てられなくても、田舎でならなんとか食べさせていくことができまる。また、出稼ぎで来ているため信頼できるご近所さんを得られず、若い夫婦たちは泣く泣く子どもを田舎に置いていかなければならなず、自分たちだけ再びバンコクに戻り働いて仕送りをする。

 大学を卒業していれば初任給でも2万バーツ(約8万円)以上は望めるが、高卒のレベルであると工場のラインオペレーターや飲食店店員などにしかなれない。そうなると月に1万~1.5万バーツ(約4万~6万円)そこそこしか稼げない。安いアパートで細々と暮らしながら、子どもを養うしかないのだ。

 一方、子ども好きの祖父母にとっては実に楽しい毎日になる。かわいい孫が毎日そばにいるのだから嬉しくないはずがない。しかし、子どもが大きくなってくると体力が追いつかず放置気味になってしまう。

 中学生くらいになるとバイクを運転しだし、それこそ目の届かないところに行ってしまう。場合によっては飲酒や麻薬など、悪い誘いも多いので危ない。

 責任を持って叱ってくれる親がおらず、そんな子どもが親になってまた子どもを誰かに預ける。少しでもなにかがずれると犯罪に巻き込まれたり、悪循環のスパイラルに陥っていく。そんな危険性がある。

 4月中旬のタイの旧正月ではタイ全土で新年を祝うと共に、子と親の久しぶりの団欒が見られた。そして、その最後の日には全土で涙を流した子どもも多かった。

 親子がちゃんと暮らせる社会。それが本当の発展なのではないかと田舎の子どもたちを見て思った。
【執筆 : 高田胤臣】

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