【タイ】スラムの人情をネパールへ スラム街での募金集め
Global News Asia / 2015年5月3日 9時0分
2015年5月1日、メーデーとして祝日だったこの日、バンコクのスラム街クロントイで長年にわたって活動しているNGOドゥアンプラティープ財団が、ネパールの被災者たちへの募金活動として、スラム街を練り歩いた。
この日、バンコクはぶり返した猛暑で日中は37度を記録。焼け付くような日射しは、午後4時になっても衰える事は無かった。その中で、世界的にも有名なスラム街クロントイで長年子供の教育支援活動を続けているNGO団体ドゥアンプラティープ財団が、スラム街の住民たちにネパールの被災者を支援しようと呼びかけた。
財団はネパールでの地震発生直後から、日系のNGO団体とも連携して、間接的に支援の働きかけを行っていた。
日本からネパールへと向かう為にバンコクに立ち寄る救助犬の検疫作業を、極力早くするようにと空港や入管などに働きかけたのだ。生物検疫の場合、通常なら7日間も空港に留め置かれる。しかし、財団の働きかけもあり、事態を了解した関係各所は手続きを迅速に進め、すでに日本隊は救助犬とともに現地で活躍している。
ドゥアンプラティープ財団の理事長プラティープ・ウンソンタム・秦(はた)さんは、スラム街の環境改善や子供たちの教育支援に取り組み、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を受賞している。日本人の夫を持ち日本の支援も多く受けていた、理事長のプラティープさんは日本への恩返しの気持ちも込めて、阪神淡路大震災の際に募金活動を思いついた。
その後、東日本大震災の直後に行った募金では、スラム街住民たちの寄付が約40万バーツ(約110万円)もの金額にもなったことは、当時日本でも話題になった。
当時も寄付したという住民の一人は、「自分たちには住む家も食べ物もある。ネパールの人たちは今、家も無く瓦礫の中で暮らしている。少しだけど助けたいという気持ちです」と語った。
また、ジャスミンの花輪を作っていた老婆は、寄付の呼びかけに100バーツ(約360円)を寄付していた。しかし、花輪はひとつ売れても10~20バーツ(約36~72円)。経費を差引けば、一日のあがりは100バーツに届かないにも関わらずだ。
「これまで苦しい状況の中で生きて来た人たちだからこそ、他の人たちの痛みが余計によくわかるんです。一人一人は貧しくて、出せる額もたかが知れている。けれど、それを集めればそこそこの額になる。そして、それが現地の人々の役に立つということが、住民たちも過去何度か経験した中でわかっています」
「それに日本を始めとする外国の支援もあって、自分たちの環境が改善されて来たこともあります。恩返しという気持ちもあるのでしょう」と財団関係者は語った。
集められた募金は、ネパールのNGO団体を通じて現地の被災者に届けられる。
【翻訳/編集 : 日本とタイ、震災の被災地で始まった友好の織物がついに完成】
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