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【タイ】バンコク最大のスラムで初のミュージックビデオ撮影

Global News Asia / 2015年6月11日 12時0分

住宅が密集しているスラムの中での撮影。近隣の住民も興味深く眺めていた。(西尾康晴 提供)

 2015年6月10日現在、バンコクには1000カ所以上のスラムがあると言われている。その中でも最大規模のスラムがクロントゥーイスラムだ。

 1960年代、工業化が進むにつれ労働者の需要が高まり、多くの人々が地方からバンコクへ流入。増え続ける労働者に対し、襲いかかってきたのは住宅問題だった。地方から来た人たちは高騰する土地を前に、自らの土地を購入することができず、追いやられるように空き地へ住む人が増え、スラムが形成されていったのだ。

 劣悪な生活環境、医療を始めさまざまな問題を抱えるクロントィーイスラム。このスラムの現状を見たプラティープ先生は、まず教育面を支援しようと、「一日一バーツ学校」と呼ばれる取り組みを始めた。「一日一バーツ学校」とはその名の通り、自宅を開放し一日一バーツで読み書きを教える私塾だ。

 この活動はやがて人々に知れ渡り、1978年、プラティープ先生はアジアのノーベル賞と言われている「ラモン・マグサイサイ賞」を受賞。授与された奨励金2万ドルを基金にし、クロントィーイスラムを支援するため「ドゥアン・プラティープ財団」を設立した。

 財団が設立されて今年で37年。支援を続けるクロントィーイスラムを舞台にしたミュージックビデオの撮影が先日行われた。同スラムでミュージックビデオが撮影されるのは初。この地を舞台に選んだのは、バンコクで音楽活動を続ける伊藤タケシ氏だ。

 撮影はスラム内の幼稚園でのライブ演奏を始め、スラムの家屋内やスラムの路上が舞台となった。撮影を担当したのは、タイの日系映像プロダクション会社「RAWLENS FILM PRODUCTION」を主宰する圷 健太氏。ミュージックビデオの公開は7月を予定している。

 作詞作曲者の伊藤タケシ氏は、発表曲である「昨日より今日へまた明日へ」をI Tune上で発売し、売上げの全額を「ドゥアン・プラティープ財団」へ寄付すると話してくれた。

 なお「ドゥアン・プラティープ財団」では活動支援金を募集している。詳しくは同財団ホームページまで。

【執筆 : 西尾康晴】

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