【タイ】長引く軍政の影で権力闘争? 遠のく民主主義
Global News Asia / 2015年7月20日 17時0分
2015年7月20日、米国ニューヨークタイムズにタイの政治と王位継承に関する記事が掲載された。その中で、軍政が長引いているのは、現軍政プラユット首相と王室の重鎮との権力闘争だと指摘している。
タイ国内では、王室に関する批判や批評の記事は不敬罪を問われる為、全く目にする事ができない。特にタクシン元首相が放追されたあとは、不敬罪での告訴件数は、それまでの10倍以上と政治情勢に利用されている事も相まって増えている。
今回掲載された記事は、タイ王室の後継者についてのもの。プラユット首相は、表立って公言していないが、ワチラポン王子を推している。対して、現王室で絶対的な発言権を持ち、近年のクーデターでは常に黒幕だと指摘されているプレム枢密院議長は、やはり王位継承について、これまで具体的な発言はない。しかし、継承順位第2位で絶大な国民の支持を得ているシリントーン王女を推していると言われる。
この対立の構図には、前段階があり、かつてタクシン元首相を追い出したクーデター後、国王の健康状態が悪化。かわって王妃が政治的な指示をするようになった。現首相は王妃の絶対的な支持者でもあり、王妃の意向でもある王子への継承を押し進めているという。
さらに軍政が、新憲法の草案作業の遅れなどを理由に、民主化移行を遅らせているのは、軍政と枢密院との間で行われている権力争いが原因だと指摘している。
いずれにしても、後継者問題がいよいよ表面化しはじめたといえる記事が出た事で、現軍政の対応が変わるとも思えない。また、プレム議長が王女を後継に望んでいるというのも疑問の余地がありそうだ。
しかし、ほとんどのタイ国民は、シリントーン王女への継承を望んでいる。しかしプミポン国王ならば、こうした権力争いを好むはずもないと信じていることも確かだ。いずれにしても、国民不在のまま国の行く末が決まろうといていることだけは確かなようだ。
【翻訳/編集 : MB】
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