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【タイ】津波の避難所と幼稚園を兼ね宿泊もできるユースセンター

Global News Asia / 2015年9月18日 17時0分

国歌を歌いながら、国旗掲揚をする園児たち。タイの学校では、公立私立ともに毎朝国歌の斉唱が全員が参加して行われるのが当たり前。(そむちゃい吉田 撮影)

 2015年9月18日。タイ南部パンガー県バンムアン地区の海沿いにあたるナムケム村。かつてスマトラ沖地震による津波で多くの犠牲者が出たこの地域には、ちょっと変わったユースセンターがある。

 ユースセンターを運営する財団法人バーンターンナムチャイは、もともとバンコクのスラムで子供たちの育成を支援してきた団体がルーツ。理事長のドゥアン・プラティープさんは、スアムでの活動が評価されて、アジアのノーベル平和賞と言われるマグサイサイ賞を受賞。その賞金でドゥアン・プラティープ財団を立ち上げた。

 そして、2004年末の津波の犠牲者を救済するためにパンガー県に入った。古くからアンダマン海に面した良港として栄えていたこのナムケム村でも、多くの犠牲者が出てしまった。ドゥアン・プラティープ財団は、その津波で親を亡くした子供たちの養育施設を建設。後にその事業が独立したのが財団法人バーンターンナムチャイだ。

 ユースセンターは、正式には津波避難ユースセンター・バーンターンナムチャイ(Tsunami Refuge & Youth Centre Baan Than Namchai)という。緑色の印象的な建物は、3階建てになっており、上部と屋上は周辺住民の避難所として設計された。2階と3階には、宿泊用の客室があり、研修で訪れた人や旅行者も一泊800〜850バーツ(約2700〜2900円)で泊れる。部屋は温水シャワー付きで清潔。内装もちょっとしたホテルのようだ。

 この施設が特徴的なのは、1階と2階に幼稚園が設置されている事。周辺住民と前述の養育施設の子供たちもここに通っている。そのため、ここに宿泊する人たちは、毎朝子供たちの元気な歌声で目を覚ます事になる。

 マングローブの森が目の前に迫る漁港の村として栄えているこの村には、隣国ミャンマーからの出稼ぎ労働者も多く、その子供たちの中には、この地で生れ育った子も少なくない。そんなミャンマー人の子供もここに通って来る。

 現在バーンターンナムチャイは、バンコクのドゥアン・プラティープ財団からは独立しているが、オーストラリアのNGO団体Hands Accross Waterという団体のサポートを受けており、資金集めとして毎年バンコクからバーンムアン地区まで自転車で走破するというイベントが開催されている。

 このユースセンターには、日本からも毎年2回学生を中心としたスタディーツアーも訪れている。ツナミクラフトが主催するこのツアーでは、村周辺を歩きながら被災から復興にいたる過程を見聞きし、養護施設も訪問。子供たちとふれあう企画も盛り込まれる。また復興後は被災前よりも発展しつつあるリゾート、カオラックではタイ人と在住外国人が手に手を取って復興に努力した現場で活きた話しを聞く。

 ツアーは、毎年2月末頃と9月頭頃に行われており、日本の復興関係者らの関心も高い。来年は3月11日前後になる予定で、一般の人も参加できるので、興味のある人は「ツナミクラフト」に問い合わせてもらいたい。
【取材/撮影 : そむちゃい吉田】

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