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【タイ】植民地の歴史とパン文化 やっとパンがおいしくなってきたタイ

Global News Asia / 2015年10月29日 11時0分

バンコク郊外のスーパーマーケットの中に入居していたヤマザキ。土地柄もあるが、写真を見てもわかるように客はタイ人ばかりだ。(高田胤臣 撮影)

 2015年10月29日、タイは東南アジアの中で唯一、ヨーロッパ列強国の植民地にならなかった国だ。外交力を始めいろいろな事情があるのだが、逆に、植民地化されなかったことで周辺国と大きく違う点ができた。それはパンだ。

 フランスの植民地となったラオス、ベトナム、カンボジアはその影響もあり、フランスパンを使ったサンドイッチが、それぞれの国の食文化に影響されて独自に発展している。そのため、今も一般に浸透しているし、それぞれの国の料理のひとつにまでなっている。

 これらインドシナ3国の屋台のパンはいつどこで作ったのか分からないものなので、ときにパサパサのものの場合もある。

 しかし、タイではそもそもパン自体がいいものがなかった。下町などではベーカリーを謳い、店内のオーブンでパンを焼く店もあるにはあったが、どれもパン生地が非常に甘く、よく言えばしっとり、悪く言えばぬるっとした食感のものばかりだった。2000年代前半でさえ、欧米人が開くフレンチレストランなど数軒でおいしい自家製パンが食べられるくらいだった。

 その後、タイの景気がよくなり、世界中から様々な店が集まったり、タイ人自身が海外に出かけるようになってから、タイ国内でもちゃんとしたパンが売られるようになった。

 日本のベーカリーでは1984年に現地法人ができた「ヤマザキ」などがある。ヤマザキは最近は大きな商業施設には必ずと言っていいほど店舗を構え、日本のようにトレーを片手に棚からパンを選んでいく。店内にオーブンもあり、時間ごとにフランスパンなど焼きたても購入できる。

 このヤマザキなどを見るとタイ人客がほとんどで、パンが浸透したことが伺える。その浸透に日本から来た店が一役買っていると考えると、日本のことを誇りに思えてくる。
【執筆 : 高田胤臣】

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