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【タイ】北部ミャンマー国境近くでひっそりと暮らす人々

Global News Asia / 2016年1月23日 9時0分

パローン族の集落で出会った母娘。伝統衣装を着るのは行事の時くらいだという。(写真提供:アジアン本舗楽天市場店)

 2016年1月23日、タイ北部ミャンマー国境にも近い山あいの村に少数民族の村が点在する。その中には長引いたミャンマー国内の紛争を嫌い、難を逃れて移住して来た人々も少なくない。かの首長族と呼ばれるカレン族もその一つ。そして、もっとひっそりと町からも、他の集落からも離れて暮らす民族パローン族の人々がいた。

 古都として、かつてランナー王朝が栄えたタイ北部のチェンマイ。今や世界的な観光地として、国内外から多くの観光客が訪れている。そのチェンマイから北へ約70km。ミャンマー国境まで約50kmほど手前にチェンダオという町がある。今回、アジアの雑貨や民族衣装などをネット販売している業者アジアン本舗の買付けに同行する機会を得て、その最果てと思える場所へ行って来た。

 チェンダオの町は、山あいに開けた盆地状になった土地だ。町自体はセブンイレブンなどのコンビニもあり、車の往来も少なくない。タイの北はずれ辺境の地というイメージは全く無かった。道を行き交う人々も外国人から見れば、普通にタイ人だと思える格好をしている。

 業者によれば、仕入れる商品は町中で売られてはいないという。少数民族の衣装や手工芸品と言えば、モン族やリス族、アカ族などは、チェンマイでも売り歩いているのを見かける。しかし、今回はそうしたところには中々お目にかかれないものだという。

 チェンダオの中心街から山へ向かって車を走らせる。途中、柔肌もむき出しになった絶景とも思える山なみと、水田や畑のコントラストに目を奪われながら、曲がりくねった道を1時間ほどで一つの集落に到着した。車から降りる我々を物珍しげに取り巻く村の人々。そこは、リス族の暮らす村だった。こんな山なかにも関わらず、観光客が訪れるようで、いつのまにか土産物を抱えた売り子たちに取り囲まれていた。

 目的の集落は途中で脇道に入らなければ行けなかったようだ。来た道を引き返して脇道に入っていく。少しして歩いていた老婆に、ここが目的の集落だと確認する。その集落に暮らす人々は、パローン族と呼ばれる。何年か前に小池栄子が訪ねた民族として、少しは知名度が上がったようだが、その集落に暮らす人々はタイ人との距離も微妙に開けたところにひっそりと住んでいた。

業者も、この村にはもう何年も来ていなかったそうで、その間にきれいに舗装された道や変わった家並みに、道も間違えたのだという。実際、このパローン族の人々も伝統衣装を来ていたのは、老婆ばかり。若い女性たちは普通の恰好をしていた。伝統衣装を仕入れに来たと伝えると、集落の何軒かが、それぞれの衣装を持ち寄って来た。それらの衣装は、女性たちが何日も端正に織り上げたものだという。

 彼女たちは、タイ語ではなくパローンの言葉で会話をしているようだ。若いお母さんが老婆の言葉をタイ語に通訳している。伝統衣装をまとってみせてくれた女性は、長女がチェンマイに働きに出ているという。次女は町中の学校に通い、パローン語を話すのは家の中だけだという。

 かつては不法移民としての扱いもされていた時期もあったが、現在はタイ国籍も与えられ、教育や社会保障も受けられるようになった。その一方で、民族としてのアイデンティティーが、ともすれば忘れ去られようとしている。どちらも犠牲にせずに保つ事はできないものか。今も試行錯誤が繰り返されている。

取材協力:アジアン本舗楽天市場店

【取材 : そむちゃい吉田】

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