【ミャンマー】子どもたちの未来のために、学校教育支援(7)
Global News Asia / 2016年1月29日 10時0分
「TOOTH FAIRYプロジェクト」の国内難病児支援事業でもボランティア経験のある山崎猛男先生は、ミャンマーボランティアツアーは初参加。「めったに歯科健診がないからか、今日診た子どもたちは順番待ちをしている時から健診中もずっと、日本の子どもたちとは、比べ物にならないほど緊張していた」という印象を受けたそうだ。12人の歯科医師の感想は人それぞれだが、全員が口を揃えるのは、子どもたちの虫歯の多さだ。虫歯だらけで、歯の状態チェックシートが真っ黒になって返される子どもたちも相当数いた。
ミャンマーでは、特に地方の子どもたちの虫歯が深刻だ。今回が3回目の参加となる訪問診療のスペシャリスト、角町正勝先生は、「ミャンマーの子どもたちの歯は、「虫歯の大洪水」と呼ばれた昭和30~40年代の日本と同じ状態」と説明する。カンバーニ村に同行したシャン州タウンジー歯科医師会のキン・タン・ヌエ先生も歯科医師不足を訴える。ミャンマーでは歯科大学卒業者は4,000人以上いるものの、収入面の不安や歯科設備・材料の不足から歯科医師の道を諦める人も多く、人口5,141万人のミャンマー全体で、歯科医師は約3,000人程度。カンバーニ村が位置するカロー郡でも人口16万人に対して歯科医師は、政府系病院で勤務する公務員歯科医師2名と歯科クリニック開業医の15名の計17名しかいない。さらに無歯科医の地域が広く、歯科受診も限られるため、「歯を大切にする」という意識がなかなか根付かないそうだ。
健診も中盤になると子どもたちの緊張もほぐれてきた。自分の番が早く来ないかと目を輝かせる子。友達と自分の歯の状態チェックシートを見比べる子。健診を受ける友達につられて、その様子を興味津々に覗き込んでいた子の口も思わず大きく開かれる。今回の歯科健診を通して、初めて「歯を大切にする」意識が芽生えたのかもしれない。健診を終えた後も、自分の歯の状態チェックシートと歯ブラシを大切そうに握り締めている様子が印象的だった。
【執筆 : 日本財団 田中麻里】
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