中国製鉄鋼の輸入を最低価格導入でブロックしたインドーHSBC投信
Global News Asia / 2016年2月24日 18時7分
2016年2月24日、HSBC投信はインドの経済動向について伝えた。
レポートは「インド政府、最低輸入価格導入で鉄鋼メーカーを支援。インド政府は2月5日、中国などからの安価な輸入鋼材の流入を抑える措置として、最低輸入価格の導入を決定した。具体的には、暫定措置(6カ月間)として、鉄鋼製品173品目に対して1トン当たり341米ドルから752米ドルの最低価格を設定した。
インドの鉄鋼業界は世界第3位の規模(1位中国、2位日本)を誇り、生産能力は1億1,000万トン。世界の中で、国内鉄鋼消費が拡大しているのはインドだけと見られている。しかしながら、現在、インドの鉄鋼業界は、中国などからの安価な鋼材輸入の圧力に苦慮している。因みに、昨年、中国は世界全体の生産量(約16億トン)の半分近くを生産し、1億トン以上を輸出した。
こうした中、インドの鉄鋼業界は、昨年の輸入関税引き上げ後も中国からの輸入が減少していないとし、政府に対し一段の保護措置を求めていた。今回の最低輸入価格導入は、国内鉄鋼業界の業績の安定化に寄与するとともに、政府の「メイク・イン・インディア」構想を支援することにも繫がろう。
鉄鋼業界は、2月29日発表予定の「2016/2017年度(2016年4月-2017年3月)予算案」にも、国内鉄鋼業界の保護に関する項目が盛り込まれることを期待している。なお、インドの鉄鋼輸入は、政府の対策を受けて、1月まで3カ月連続で減少した。また、今回の最低輸入価格導入の決定を受けて、2月以降、鉄鋼セクターの株価は他セクターをアウトパフォームしている。
2016/17年度予算案に注目集まる。インドにおいて、当面の注目点は、政府が2月29日に提出する予定の2016/17年度の国家予算案の内容、そして物品サービス税(GST)導入法案の行方である。
予算案については、歳出の質的改善、税制の合理化、財政赤字削減計画、国営銀行の改革、インフラ投資の拡大と地方への重点配分などの提案が期待されている。
GST法案は、前回の冬季国会では不成立に終わったが、政府は次回予算国会(2月23日~5月13日)に再度提出する方針。GSTは、州毎に異なる複数の間接税を一本化するものであり、1991年の経済改革以降、最も重要な税制改革である。実現すれば、州間の物流の円滑化と輸送コストの大幅削減、また税収増と慢性的な財政赤字の是正に繋がることが見込まれる」と伝えている。
インドは、高速鉄道に日本の新幹線方式の採用を決め、プランの詳細作業が進んでいる。中国国境では、小さなトラブルも起きており、中国製の鉄鋼輸入をブロックし、国内の鉄鋼業界を守った政策は、高く評価する声が高い。
【編集 : 高橋健二】
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