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タイで最も有名な護符刺青の寺で奇祭が開催された

Global News Asia / 2016年3月24日 11時0分

憑依した男性は叫び声を上げながら仏像に向かって来る。会場内は気温的な暑さだけでなく、信者たちの熱気で異様な雰囲気になっている。(高田胤臣:撮影)

 2016年3月24日、バンコクから西へ車でおよそ1時間程度の距離にあるナコンパトム県内の寺院ワット・バーンプラで、護符刺青で有名だった僧侶ルアンポープンへの祈りの儀式が3月19日に開催された。毎年3月に開催されるワイクルーと呼ばれる儀式で、信者たちの中には神が降臨して暴れ出す者もおり、奇祭として内外のメディアも多数取材に訪れる。

 今年は3月19日に開催され、午前9時ごろの祈りの儀式のため、早い者では17日から寺を訪れて、その瞬間を待っていた。19日当日は1万人を超える信者が集まり、炎天下でひたすら儀式が始まるのを待っていた。

 護符刺青はタイ北部のチェンマイ県で興ったランナー王朝の時代(14~18世紀頃)に兵士らが敵から身を守るために僧侶に仏教的な図柄を彫り込んでもらったことが始まりとされている。図柄にはヤントラなどの図形のほか、仏教神話に出てくるトラやサル、鳥などの絵がある。

 ワット・バーンプラは1677年ごろに建立されたとされるが、タイでは寺院建設は昔から誰が何の目的で建立したかの文献を残すのが一般的なところ、この寺にはその文献が一切なく、そもそも何の為の寺だったかはわかっていない。その後、ルアンポープン師が住職となり、他界する2002年までの間に護符刺青で有名な寺になった。

 19日のワイクルーでは、一部の男女にサル(ハヌマーン)や老師、鳥やトラなどが憑依して、会場正面のルアンポープン師像に向かって全速力で入り込んでいった。ときには数十人が同時に憑依し、会場は騒然となる。像の前ではボランティアのレスキュー隊員が待機して、憑依した者を宥め、負傷者の手当を行っていた。

 今年は9時19分に読経が始まり、およそ20分間の黙祷ののち、ワイクルーの儀式が終了した。

【執筆 : 高田胤臣】

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