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【インド】経済動向ーHSBC投信

Global News Asia / 2016年3月24日 13時13分

インドのイメージ。写真はタージ・マハル。(HSBC提供)

 2016年3月23日、HSBC投信は、インド金融市場の動向を伝えた。2016年度予算案は経済成長と財政規律のバランスを重視しており、銀行業界の直近課題は不良債権処理を進めることだ。

 レポートによると、2月は、月間ベースでは株式・通貨は軟調、債券は堅調となった。しかし、2月末に発表された2016年度予算案は、特に財政赤字削減計画などが市場で好感され、その後は株式・通貨・債券ともに上昇している。

1.2016年度予算案は経済成長と財政規律のバランスを重視。政府は2月29日、2016年度(2016年4月-2017年3月)予算案を発表した。経済成長と財政規律のバランスを重視した点が同予算案の特徴である。予算配分ではインフラ整備、農業振興に重点が置かれた。インフラ整備では特に道路・鉄道建設への投資を拡大。農業振興では、農村所得を今後5年間で倍増させる目標を掲げており、かんがい農地拡張や農村向け貸出拡充などの政策が盛り込まれている。財政規律は堅持されている。財政赤字の対国内総生産(GDP)比は2015年度見込みの3.9%から2016年度は3.5%に圧縮する計画であり、これは市場予想の3.7%を下回る水準。政府が財政健全化策を維持したことから、インド準備銀行(中央銀行)には金融緩和余地が生まれており、市場は予算案を好感している。

2.銀行業界~当面の課題は不良債権処理。中央銀行は本年3月末を期限に銀行検査を行っているが、不良債権額は既に公表されている1,310億米ドルを上回ると見込まれている。昨年10月にも検査が行われた結果、不良債権額が急増し、11銀行が引当金を積み増したため、10-12月期に損失を計上した。これは、インドの銀行株がこの数ヶ月間低迷した要因でもある。市場では今回も同様の状況が繰り返されるのではないかと懸念されている。実際、1-3月期に増益を見込む銀行は、昨年末に不良債権を一気に引当て処理した業界第3位のバローダ銀行のみである。こうした状況に対し、政府は国営銀行支援を目的に最低2,500億ルピー(約4,100億円)の公的資金注入を発表、中央銀行も自己資本比率改善に繋がる規制緩和(不動産再評価益の中核自己資本(Tier1)への算入許可など)を発表した。また、政府は2月末、国営銀行の経営機能改善を目的に「Bank Board Bureau (銀行理事会)」の設置を決定、4月から活動を開始する。加えて、2016年度予算案では、国営銀行再編と政府保有株比率の50%未満への引き下げも盛り込まれた。インドでは、銀行業界改革に向けた各種取り組みが進行しているが、当面、銀行業界は、そのプラス効果を享受する前に、深刻化する不良債権問題への対応を迫られている。

【編集 : WY】

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