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【タイ】日本人ブリーダーがタイ固有犬種で世界を目指す

Global News Asia / 2016年4月1日 9時0分

日本人で唯一のバンゲーオ・ブリーダーの吉田さん(中央)と妻のChanyaさん(左)、息子、チャンピオン犬のマナオ。(撮影:高田胤臣)

 2016年4月1日、タイ西部のラーチャブリー県に暮らす日本人、吉田悠希さんはタイ人の妻と共にタイ固有犬種のひとつ、バンゲーオやシベリアンハスキーなどのブリーダーとして生活をしている。そんな吉田さんが経営する「泰国吉田犬舎」にお邪魔した。
「日本でブリーダーをしていたというわけではなく、タイで妻と飼い始めた犬がたまたまバンゲーオだっただけです」

 タイには固有犬種が2種類あり、その一方の犬を偶然自宅に招き入れたことがきっかけで24時間、犬と関わる仕事を始めることになった。犬に関する知識も、タイで飼い始めてから勉強し始めたに過ぎない。それもたった3年ほど前の話である。

 そんな吉田さんは現在、タイ人ショー・ブリーダーたちに恐れられる存在にまでなった。バンゲーオのマナオと、タイではかなり珍しい秋田犬の鳴海(なるみ)を数々のショーに参戦させ、2頭ともタイ最高峰とされるタイ女王杯も獲っている。さらに、マナオに関しては出場する先々でなんらかしらの賞を獲得するほどにまで成長した。これまで君臨していたベテラン・ブリーダーたちからすると吉田さんとマナオは脅威となった。

 そんなマナオや鳴海への訓練はとても厳しいものなのかと訊いたところ、意外な返事があった。
「犬の集中力はあまり長く続きませんから、遊びながら、ときには数分間だけしか訓練をしません」

 元々はタイ東部のチョンブリ県に住んでいたが、犬の鳴き声などで苦情もあり、タイミングよく他のブリーダーが売りに出した西部の土地を買って2年前に移住。それからは本格的なブリーダーとなり、朝は5時6時に起きる生活を続けている。365日、常に犬が中心で、子犬が産まれれば寝る時間もない。犬が好きだからこそできる生活で、毎日真剣に向き合うことによってしっかりとした訓練方法も確立できた。
「どうですか、犬舎の中も臭いがしませんよね。妻がキレイ好きだったことも幸いして、常に清潔に保つようにしています」

 犬たちのために建てた犬舎の中もまったく臭いがしないほど清潔で、全部で20頭前後いる犬たちは健康的で性格も明るい。
「訪問客が来きたらできるだけ会わせるようにしています。というのは、犬は大まかな外見などで得意な人苦手な人を分類するんです。ある年齢で固まってしまうので、それまでにたくさん会わせることでいろいろなタイプの人に懐くようになります」

 吉田さんはこれを「社会化」と呼ぶ。ブリーダーである以上、我が子同然に育ててきた子犬たちを顧客に引き渡さなければならない。吉田さんはバンゲーオがほしいという人とは事前に会い、その人となりを見て顧客とするかしないかの判断をしている。しかし、問題ないと判断した場合でも引き取られた先の生活環境まで完全には把握できない。そんな場所で子犬たちは生きていかなければならず、子犬がいつまでも慣れずに人見知りを続けるのも互いに不幸になるだけだ。そのため、吉田さんが最も大切にするのが子犬たちの「社会化」なのである。

 実は吉田さんがショー・ブリーダーになっているのも賞金や名誉が目的ではなく、より多くの人に接することができるドッグ・ショーに行くことで「社会化」を第一に考えているからだ。

 そんな風にして吉田さんが目をかけているマナオはタイだけでなく、世界に飛び出していくことになった。
「今年6月にロシアに遠征します。そのあとも欧州のドッグショーに参戦予定です。タイ国内では外国に行くための血液検査などができないので、今から準備を始めなければいけません。ちょうど6月のロシア遠征直後は私の誕生日なので、親としてはマナオに賞を獲ってもらって、誕生日プレゼントにしてほしいですね」

 犬を愛する日本人がタイ固有犬種でタイの代表として世界に挑む。吉田さんとマナオの活躍に期待したい。

【執筆 : 高田胤臣】

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