【ミャンマー】子どもたちの未来のために、学校教育支援(12)
Global News Asia / 2016年4月8日 11時30分
ティン・レイ常務理事が、忘れられない出来事を教えてくれた。「ある学校の新校舎引渡式典で、村の人から「昨日は村の人たち全員が全く寝ていないのです」と言われました。新校舎が教育省に正式に引き渡される大事な日だったので、驚いて理由を尋ねたら、「新校舎が完成したのが嬉しくて、村のみんなで新校舎を一晩中眺めていたのです」と返ってきたのには、とても感動しました」。
この住民の建設への貢献は、労賃として換算される。例えば、2015年校舎完成のレー・ドゥー村の場合、約480万円の学校建設費用のうち、住民の貢献は、労働提供、資材購入、現金寄付を合計して約100万円に相当。126世帯756人・平均年収約15万円の村で、世帯当たり約5,000~10,000円分の貢献をしたことになる。式典では、労賃に換算された金額がセダナーから「地域開発委員会」に手渡され、この資金を元に、共同農園や精米場の運営、マイクロファイナンスなど村のニーズにあった地域開発事業が行われる。その収益が、校舎の補修、学校の電化、補充教員の雇用、備品の購入など、学校運営に充てられる。
そして、これまでに地域開発事業を実施した各村々を、定期的に訪問し、実施状況を確認していくのもセダナーの重要な仕事だ。2002年から2016年3月末現在でセダナーは、265校の校舎建設と地域開発事業を実施。全ての村で地域開発事業が滞りなく実施できているのも、セダナー職員が、建設終了後も住民の良き相談相手となっているからだろう。
ティン・レイ常務理事は、「今後、事業を実施している村が主体的に地域開発事業を継続すること、学校を持続的に運営していくことが何よりの願いです」とその想いを語ってくれた。2017年末までにシャン州でセダナーが建設を支援する学校は300校を越える見込みだ。
「子どもたちの未来のために」、住民が一丸となって取り組む学校建設を通じた地域開発事業。自分たちの足で何度も村を訪問し、信頼関係を築き上げたセダナーだからこそ、地域住民の校舎建設と学校運営に対するモチベーションを最大限に引き出せる。セダナー職員と地域住民、二人三脚の努力と情熱が、シャン州からミャンマーの教育を支えている。
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さて、昨年11月から隔週12回に渡ったこちらの連載も、今回を持ちまして一区切りとなります。ご愛読いただき、ありがとうございました。
【執筆 : 日本財団 田中麻里】
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