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JICA長期専門家・小田島陽子さん、カンボジアの税関職員を指導

Global News Asia / 2016年5月21日 11時0分

小田島陽子さん。(中央・JICA提供)

 2016年5月19日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo57」に、『日本モデルに確実な前進を国際水準へ、カンボジア税関と二人三脚』と題する記事が掲載された。

(記事)『国境を越える人やモノの流れは年々太く、濃くなっています。その流れをできるだけ円滑にし、適正に税を徴収し、密輸を取締り、違法薬物や偽ブランド品などを摘発するのが、税関の役割です。 JICAは2003年から10年以上に渡って、カンボジア政府の関税消費税総局に専門家を派遣し、税関の人材育成などに携わっています。カンボジアは戦後復興から経済発展へと移行する時期にあたり、外国企業の誘致、国際水準のビジネス環境の整備のためにも、税関の改革や近代化が急務とされました。 2013年から派遣されているJICA長期専門家の小田島陽子さんによると、これまでの技術協力では、日本をモデルとする「事後調査制度」や「事前教示制度」などが導入されました。それぞれ、税関手続きを速く円滑にすることや、正しく課税されているかを検証するために必要な制度で、これらの運用研修、リスク管理研修なども、日本、カンボジア両国 で行われました。 制度や人材を育てる取り組みは、成果が目に見えるまでに時間がかかります。それでも小田島さんは、できるだけ具体的な行動で、内外に「変化」を感じてもらえるよう努めてきました。 たとえば一昨年、ある建築資材のベトナムからの「密輸」が問題になりました。

 この資材をカンボジアで国内生産する企業が、密輸品の横行で「不公平な競争を強いられている」とカンボジアの関税当局などに調査を求めたのです。小田島さんは当局と協議して、3つの行動を起こしました。まず、税関幹部に密輸の可能性がある地点へ同行してもらい実地調査をするとともに、現場職員へより徹底した取締まりを指示してもらいました。次に、資材の関税分類や関税評価が誤っていることも考えられるとして、能力強化の研修を実施。そして、2012年に導入した事後調査制度を利用して、輸入業者の申告内容についての事後調査を助言しています。

 ベトナム国境だけでなく、カンボジアには タイ、ラオスとの間にも長い陸の国境があります。全国で約1500人の税関職員が徴税や取締りに当たるのですが、職員数は他国と比べても少ない、といいます。たとえばタイ国境のポイペト地区には3か所の税関事務所・出張所がありますが、実際にタイへ抜ける道は120本以上。ベトナム側には雨季には川となり、税関を通らずとも船で行き来できてしまう国境もあります。 国によって事情は違い、何でも日本が手本になるわけではない、と小田島さんは言います。でも税関の若い職員たちの学ぶ意欲は高く、未来への希望が持てると言います。

 税関職員になって5年のソク・レクスメイさんは「小田島さんからは、知識を詰め込むだけでなく、理論を学んでいる。豊富な人脈で、民間の人たちと私 たちをつないでくれるのも重要なこと」と言います。日本の税関中央分析所で研修を受けた オウク・チャンソピアップさんは「他国の状況を知ることで、私たちに必要なことが明確になる。今はカンボジアに化学分析所を作るためのアクションを起こしている」と話しました。 国と国との間をとりもつ税関職員は「税関フ ァミリー」といって、世界のどこでも一定の共通言語を持つといいます。カンボジア国際化の 窓口として、これからもJICAとの二人三脚は続きます。』
【編集 : KM】

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