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【タイ】信者に阻まれ新興仏教団体教祖の逮捕失敗

Global News Asia / 2016年6月18日 9時0分

タンマカーイ教団の寺院

 2016年6月16日、タイの法務省特別捜査局(DSI)は巨額横領事件に絡んだマネーロンダリングの疑いにより、タイの新興仏教団体タンマカーイ寺住職を逮捕しようとしたものの、座り込むなどした大勢の信者達に行く手を遮られ、住職の居所に近づくことが出来ずこの日の逮捕を断念した。DSIは住職を逮捕すべく7月13日までに何らかの方策を講ずるとしている。

 タンマカーイ寺の住職プラタマチャヨー僧は、3月からDSIに出頭を求められていたが「健康上の理由」で拒否。5月に逮捕状が出ると広大なタンマカーイ寺に立て籠もった。同寺には常時、数百から数千の信者が詰め、一時は寺側が門の前などに鉄条網を設置するなど、厳重な警戒態勢が敷かれていた。

 逮捕騒動の発端は、バンコクのクロンジャン信用協同組合で2013年に発覚した横領事件にある。同信組のスパチャイ元理事長が信組の預金額のほとんどに当たる120億バーツ以上を横領し、国外に送金したり、関連企業に横流しした疑いが強まり、当局はこれまでに、元理事長と関係者の資産数十億バーツ相当を差し押さえていた。

 この捜査の過程で元理事長が2009年以降、信組の金を流用しプラタマチャヨー僧らタンマカーイの僧侶と寺に10億バーツ以上を寄付していたことが判明。マネーロンダリングに携わったとみている。

 タンマカーイは1970年代からバンコクの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、バンコク郊外の巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院随一とされる。タイの正統仏教組織であるサンガ(仏教僧団)上層部に強い影響力を持ち、タクシン元首相の支持基盤としても知られる。こうしたことから、今回の騒ぎについては、反タクシン派軍事政権とタクシン派の代理戦争という見方も出ている。
【執筆 : HT】

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