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【ミャンマー】全長12メートル! 幻のナガ族巨大太鼓の製作を録画

Global News Asia / 2016年9月23日 11時0分

植物を編んで作った縄で巨大な太鼓を運ぶ(提供:チン州、井口寛さん)

 2016年9月23日、ミャンマーとインドに住む少数民族のナガ族は、巨木をくりぬいて作る伝統楽器の太鼓「キャム」を持つことで知られる。日本の録音技術者、井口寛さん(37)は今春、ミャンマー北西部チン州のナガ族の村で村人の協力を得て、この巨大太鼓を制作、その様子を映像に記録した。完成した太鼓は全長12~13メートルで、20~30人が同時に叩いて演奏できる。

 井口さんは2013年から、ミャンマーの伝統音楽を録音し、資料化する作業を進めている。ミャンマーの伝統楽器の奏者らには高齢者が多い上、後継者がおらず消滅の危機にある民族音楽もあることから、奏者が健在のうちに録音しているという。これまで、ドラが円形に連なるサインワインや、ビルマギターなどの伝統楽器の音色を記録している。

 この活動の中で、ナガ族の音楽に興味を持った井口さんは、チン州を訪れて「太鼓を作ってほしい。その様子を撮影したい」と頼み込み、作ってくれる部族を見つけたという。

 太鼓を作るには約2週間がかかった。村人たちは、ジャングルの中で20メートル以上の大木を切り倒し、数十人がその場で巨大な丸太をくりぬいて太鼓に加工。12~13メートルはある太鼓を100人もの村人が総がかりで村までロープで引っ張って運んだ。自動車はおろか荷車なども使わず、小さな丸太を太鼓の下に敷き詰めて転がしながら運んだという。

 太鼓と言っても、皮などを張って音を出すのではなく、空洞になった丸太を外側から叩く巨大な木魚のような構造だ。日本語では木鼓(もっこ)と呼ぶこともある。

 巨大な太鼓はナガ族にとって信仰の対象だ。井口さんは完成後に行われた祭りの様子も映像に収めている。井口さんは「この映像をナガ族の祭を訪れる外国人に販売するなどして、収益をナガ族の村のために寄付したい」と話している。

 ナガ族はインド東北部ナガランド州や、ミャンマーの西北部チン州などに住むモンゴロイド系の民族。かつては首狩りの習慣があり、勇猛さで知られている。

【執筆 : 北角裕樹】

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