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【タイ】国父プミポン陛下を偲ぶ10万人の大合唱

Global News Asia / 2016年10月24日 10時30分

広大な王宮広場と周辺道路を埋め尽くして行われた大合唱。その様子は王族の映画監督チャートリーチャルーム・ユコン氏の指揮で映像として記録された。

 2016年10月23日、通常の時であれば、広々とした広場と、エメラルド寺院(ワット・プラケオ)を拝観する観光客が、そぞろ歩きをする姿が見えるくらいの王宮広場。しかし、この日広場と周辺道路一帯が黒い喪服で埋め尽くされた。先週13日に崩御したプミポン国王陛下を偲び、国王讃歌を歌おうとの呼びかけに、バンコクのみならず、タイ全土から人々が集まったのだ。

 王宮広場へは、崩御された翌日から無料バスなどが最寄りの駅やバスターミナルを無料でシャトル運行している。シャトルバスはこの日も朝早くから満員。続々と広場へと導かれていた。

 広場では、連日NGO団体や政府による飲料やお弁当の無料支給も行われていた。その中には、ワチラロンコン皇太子の一番目の妃だったソムサワリー妃殿下、自らが調理をして振舞う姿もあった。

 合唱は午後1時と午後22時の2回とされていたが、1回目の合唱が終わっても、続々と詰めかける国民を前に、引き続き2回合唱。さらに映像収録をしていることもあり、オーケストラと合唱タイのみでの演奏も2回ほど行われた。

 あまりにも広く、多い人のため、広場に入れず周辺道路にいた人々には、合唱スタートの合図はほとんど聞こえなかった。しかし、直前に、「帽子を取って!」「傘をたたんで!」と前方から声が順送りに伝わってきた。少しするとその前方から、歌声が聞こえてきて、段々とボリュームが上がるように、後ろへと歌声が広がっていった。そして、最後の瞬間にはほぼすべての人々の息は、ぴったりと合っていた。

 合唱が終わり、少しの静寂に包まれる。これまでなら、合唱が終われば「万歳三唱」と続くのだが、この日は誰もが息を押し殺したような静寂になった。その静けには、人々の喪失感の大きさと悲しみの深さが凝縮されていたとも言える。ふと見回すと天を仰いで手をあわせる人、涙を拭う人、目を潤ませしっかと王宮を見入る人、人、人。タイの人々は、一人一人の心の中に陛下の面影を刻みつけているかのように見えた。
【記事 : そむちゃい吉田】

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