【金正男氏殺害】韓国の祈願的な偏狭報道「中国からの北朝鮮旅行客激減」の実態
Global News Asia / 2017年2月28日 5時53分
2017年2月27日、韓国の地上波テレビ「MBC」は、20日午後8時10分配信のニュースで、マレーシアで発生した北朝鮮の金正男氏殺害事件の影響で、中国人の北朝鮮への旅行ツアーが次々と中止になっていると報じた。
韓国MBCニュースによると、12日のミサイル発射実験。13日の金正男氏殺害事件で、北朝鮮へ渡航する90パーセント以上を占める中国人の北朝鮮ツアーキャンセルが相次ぐ。北朝鮮に対する反感が高まっているのが大きな理由で、2017年観光客100万人誘致を目指していた北朝鮮にとっては大きな打撃だと伝えている。
映像では、中国瀋陽の旅行会社が客が集まらないため、ツアーを中止したという話や、北朝鮮は怖いので、行きたくないという若い女性の街頭インタビューを紹介して、中国人向け北朝鮮ツアーが次々とキャンセルされ、北朝鮮には少なからず打撃を与えるだろうと結んでいる。
ニュース映像には、旅行会社の2月の卓上カレンダーに「終了しました」と大きく印字したカットが映り、年間10万人の外国人訪朝者の90パーセント以上を占める中国人が激減していると説明。
誤解を恐れずに書かせてもらうと、北朝鮮ツアーを推奨するわけでも、北朝鮮へ肩入れするわけでもないが、この報道は一部の事実をかなり誇張して伝えている。まったくの嘘とは言えないが、かなりの偏狭報道だ。
韓国MBCでこのニュースが報じられた翌日に、丹東や瀋陽で北朝鮮ツアーを手配している旅行会社3社へ問い合わせたところ、3社ともツアー旅行を実施しているのとの回答だった。
では、何が真実だったかというと、金正男氏殺害事件は、中国でも政府系メディアを除き、金正恩党委員長の異母兄である金正男氏が殺害されたというニュースは連日伝えられており、マレーシア警察が発表した容疑者に北朝鮮国籍者が多数いることも中国人は知っている。そのため、北朝鮮ツアーのキャンセルが出ていることは事実のようだ。しかし、ツアーは受け付けており、実施もしている。そもそも2月の瀋陽や丹東は冬の寒さが厳しく、オフシーズンで旅行者自体が少ない。昼間でも零下の日も多く、とても旅行どころではないのだ。これらの地域の旅行シーズンは東京の気候だと3月くらいに相当する5、6月くらいからとなる。北朝鮮でも2月はオフシーズンだ。
中国政府が北朝鮮が内乱状態などと判断して中国人の安全確保のため訪朝禁止でも決定しない限り、また春になると今回の事件を忘れたようにドバっと中国人訪朝者は増えるだろう。
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