【金正男氏殺害】当初沈黙していた中国政府と官製メディアー今事件をどう伝えているか?
Global News Asia / 2017年3月11日 15時57分
2017年3月11日、クアラルンプールで発生した金正男氏殺害事件について、北朝鮮の最大支援国である中国が事件をどのように報じてきたのかを見ていく。2月13日事件発生の翌14日に、韓国発で世界へ報じられ日本でも連日のようにトップニュースとなったのは記憶に新しいと思う。
中国は、地方紙やインターネットメディアは金一族の家系図などを用いて、詳細に事件を伝えるメディアもあったが、政府系の官製メディアは沈黙し続けた。15日午後の外務省の定例記者会見で、報道官が事件について初めて触れ、マレーシア警察の捜査の進展を見守ると、具体的な言及は避けていた。この時点では、金正男氏の名前も出していなかったが、翌16日の午後9時過ぎの、国営中国中央電視台(CCTV)のニュースで、初めて金正男氏の名前が登場したことが、確認できる。以降は、日本の各メディア同様に殺害された男性=金正男氏前提で報じられるようになった。
当初、中国政府や官製メディアが事件についての言及を避け金正男氏の名前も出さなかったのは、北朝鮮に対する配慮だったことも考えられる。しかし、中国が実質保護していた正男氏を殺害したことに対する怒りの現れか、はたまた、盛んに報じる地方紙やインターネットメディアへの統制がこれ以上はできないと判断したのかは不明だが、事件から1カ月近く経過した現在は、官製メディアも短くではあるが金正男氏の名前を繰り返し報じている。
政府系メディア『環球時報』も、マレーシア警察のハリド長官が、クアラルンプールで死亡した北朝鮮籍の男性について言及し、「警察は、死亡したキム・チョル氏とされていた男性が金正男氏であることを確認した。ただし、確認するための協力者を保護する観点から確認方法など詳細は明かせない。また、北朝鮮籍の重要参考人は引き続き北朝鮮大使館に留まっていると考えている」と10日の発表内容を報じた。
北朝鮮は、金正男氏の遺体を外交官であることを理由に早急に引き取り、身元特定を防ぎ、中国の協力で事件の真相をあいまいな方向へ持ち込もうと画策したかは定かではないが、中国の協力支援が音を立てて崩れた今、今後、北朝鮮がどう出てくるのか引き続き注視したい。
【執筆 : 中野 鷹 】
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