カンボジアの国際物流課題-JICA
Global News Asia / 2017年4月30日 9時0分
2017年4月20日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo68」に『イチからわかる! JICAプロジェクト 経済成長の大動脈! カンボジアの国際物流の課題は? 』と題する記事が掲載された。
メコン河にかかる「つばさ橋」が、開通して4月で2年になります。それまで、ベトナムへと続く国道1号線はここで途切れ、フェリーを使うしかありませんでしたが、橋の開通で利便性は劇的に向上し、経済的にも物流の大動脈が陸路でつながる重要な節目となりました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合が進むにつれ、国境を越える人やモノの動きは活発になりますが、カンボジアの物流はいまだ多くの課題を抱えています。JICAは「つばさ橋」建設や主要道の改修など陸路のインフラ整備に加え、沿海や河川の港湾整備や港湾運営改善、輸出入システムの改善など、主に貿易の物流をスムーズにするための多様な取り組みを行っています。
注目されるカンボジアの物流の現状について4月4日、JICA専門家の久米秀俊・運輸政策アドバイザーと、カンボジア公共事業運輸省のチャン・ダラ港湾航路海事総局長が、記者向けの勉強会を開きました。その概要をお伝えします。
■メコン河水運の改善
久米専門家は、カウンターパートとともに取り組んできたカンボジアの貿易にかかわる物流の課題を3つ取り上げました。ひとつ目は、メコン河を使った水運改善です。陸上輸送に比べ、水運は一度に運ぶことができる量が格段に 大きく、重いものを運ぶのにも適しています。 比較的安価なことも利点の一つです。ところがプノンペンの河川港から、貿易拠となるベトナムのカイメップ港まで、陸路では約8時間ですが、水路では40時間もかかります。この時間をできるだけ短縮する工夫が必要です。 久米専門家は、改善点のひとつとして夜間の船の国境通航を挙げます。ベトナムとの水路の国境は、夜間には閉鎖されます。夜間も国境通 航できるように両国で改善すれば、夜間に到着 した船が朝まで待つ必要がなくなります。
■シアヌークビル港への鉄道アクセスの改善
ふたつ目は、カンボジア唯一の国際深海港、 シアヌークビル港の活用です。なかでも課題 になっているのが、港へのアクセスです。プノ ンペンから同港までは道路アクセスが大半を占め、約6時間かけてトラックで多くの荷物が運び込まれますが、経済活動が盛んになるにつれ、港の入り口での渋滞が激しくなりました。 過積載も目立ちます。そこで、渋滞とは無縁の鉄道の利用が注目されています。ただ、現状の鉄道輸送には、プノンペン周辺で貨車へ荷物を積み込む拠点である ドライポートの整備が不十分であることや、線路や鉄橋の整備状況が悪いこと、などさまざま な課題があります。より効率的な港へのアクセス手段となるよう、関係機関と連携して鉄道アクセスを改善することが必要、と久米専門家は 指摘します。
■港湾EDIシステムの導入
三つ目は、港湾での船の入出港手続きの効率化です。港に船が到着すると、大量の書類の受け渡し、コピーが行われ、それが終わらないとコンテナの積み下ろし、積み上げができません。そこで、港湾EDI(Electric Data Interchange)システムの導入が急務となっています。港湾EDIは、申請・届け出などを、電子情報にしてペーパーレスで決済するシステムです。実は、日本も15年ほど 前まではこのシステムがありませんでした。 現在、このシステムの導入を日本がどのように支援できるか、調査が実施されています。たとえばミャンマーでは日本の援助によりすでに港湾EDIシステムが導入されています。飛躍的にコストと時間を節約できるこのシステムが、 一刻も早く導入されることが必要だと久米専門家は強調します。
【編集 : YA】
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