ヨウ素不足で「カンボジア・ラオスの子どもに健康被害」-東日本大震災後
Global News Asia / 2017年5月30日 9時0分
2017年5月30日、カンボジアのメディアが、子供たちに深刻な健康被害が広がりつつあることを警告している。2011年3月11日に起きた東日本大震災による、福島第一原子力発電所の事故により、世界的にヨウ素が不足しているため、三ツ口病などの発症率が上昇しているという。
定期的な洪水を抱える多くの国と同様に、カンボジアの土壌には天然のヨウ素がほとんどないため、作物にもほとんど含まれていいない。ユニセフによれば、人口の約5分の1には甲状腺の腫大があり欠損症で、小人症やクレチン症を引き起こす可能性が指摘された。
また、かつてラオスでは風土病とされいた、三ツ口病の原因が、このヨウ素不足にあることが、現地に赴任した日本人医師の研究により明らかにされた。ラオス政府はその報告をもとに、国内に流通させる塩にはヨウ素を加えることを義務化した。
しかし、この数年、この三ツ口病が再び報告されるようになっている。カンボジアやラオスなどでは、内陸の地中から汲み出した塩水を精製した塩が供給されている。しかし、この塩にはヨウ素が含まれていないために両国の政府は、ヨウ素を加えて市販することを義務化していた。
しかし、311以降安価だった原料のヨウ化カリウムが、世界的な不足に陥った。これは複合的な要因であり、ひとつは、3分の1を占める生産地だった日本が震災で被害を受けたこと。そして、その日本や米国でパニック的な購入が増大したことだ。このため、原料の価格は一時50倍に高騰した。これはカンボジアの塩産業に大打撃を加えた。有識者は「ヨウ素不足は海産物の摂取を促進すれば改善できるはずです。海産物の輸入を推進するべきです」と話す。
現在カンボジアでは、ヨウ素を加えていない塩が流通している。ヨウ素欠乏によるこうした病気は、本来十分に予防可能なものだ。311前のコストは、1トンあたり1ドルないし、2ドル。出荷前の塩にスプレーしてかく拌するだけ。1999年から2011年までにカンボジアでは、ヨウ素不足の問題は、年々大きく改善されていた。
カンボジアの記事は、現在のヨウ素不足を早急に解決しないと、子どもたちの健康に深刻な影響が続くことになると警告している。
【翻訳/編集 : Tawan】
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