【ミャンマー】検閲で上映中止の映画、映画祭で最優秀賞 同性愛がテーマ
Global News Asia / 2017年9月13日 18時45分
2017年9月11日、ミャンマーの若手映画人の登龍門になっているワッタン映画祭が閉幕し、ドキュメンタリー部門の最優秀賞には、同性愛者の恋愛を描いた「ア・シンプル・ラブストーリー」が選ばれた。この映画は当局の検閲により上映中止に追い込まれた作品。ワッタン映画祭はこの映画を上映はしなかったものの、最優秀賞に選んだことで、ミャンマーで依然として続く事前検閲に抗議する強いメッセージを送った形だ。
関係者によると、同映画の同性愛を肯定的にとらえたメッセージが問題とされたという。当局の指導に対して、ニンパパソー監督ら制作側は修正に応じず、映画祭で上映することができなかった。この作品はコンペでは一般公開されなかったものの、映画祭は審査対象として扱った。受賞が決まった閉会式では、他の受賞作品は再度上映されたが、この映画だけはできなかった。ドキュメンタリー部門の審査を担当した審査員のマーク・エバール氏は発表の際、「政治的な理由で選んだのではない。良い作品なので選ばない理由がなかった」と話した。
ワッタン映画祭ではこのほか、ショートフィルム部門で、ミャンマーの伝統行事の子どもの出家について描いた社会派アニメの「ターシンピュー」、ヤンゴン環状線の日常を描いた「トレイン」がニュービジョン部門で受賞した。日緬合作映画として初めてノミネートされ話題となっていた「一杯のモヒンガー」は入賞を逃した。
ミャンマーでは、軍事政権時代に厳しい検閲体制が敷かれ、表現の自由は大幅に制限されていた。2011年の民政移管後に日刊紙の発行が認められるなど一部が緩和されたものの、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連合(NLD)政権が2016年に発足してからも、映画などの事前検閲が続いている。また、国軍やNLD幹部を批判した記事を執筆した新聞社の幹部らが、電気通信法違反で次々と逮捕されており、表現の自由に関してはいまだに制限が多いのが現状だ
そんな中でも、映画祭で新たな表現を模索する若い才能も出てきている。今年7度目になるワッタン映画祭には、米国で撮影された作品や、レベルの高いアニメ作品なども出品し、作品の幅が広がっている。同映画祭を訪れたある外交官は「毎年作品のレベルが上がっている。新たな段階に入ったと言ってもいい」と驚いていた。
【編集 : KLH】
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