インド政府は国営銀行の資本増強に、320億米ドルの資金注入実施を発表ーHSBC投信レポート
Global News Asia / 2017年11月15日 3時30分
今回の発表を受け、これまで膨大な不良債権と低調な貸出に悩まされてきた国営銀行の株価は大幅に上昇した。他方、民間銀行は、貸出の伸びの鈍化や不良債権問題に少なからず直面しているものの、今回の資本注入計画の対象には入っておらず、株価上昇の恩恵は受けていない。
中長期的に見て、政府の資本注入はインド株式市場、通貨ルピー、ひいては経済にとり好材料と言えるものの、「資本増強債券」がバランスシートの重しとなり、国営銀行による新発債の買入れ額は減少、債券需給にマイナスに働き、利回りに上昇圧力がかかる可能性が考えられる。
なお、政府は今回の発表で、過去最高水準に上る資本注入計画とともに、今後5年間に1,080億米ドルの道路建設を行なう計画を同時に明らかにした。いずれの計画もモディ政権による経済成長再加速計画の一環であり、今後予定される主要州議会選挙に向けて弾みをつける形となった。
グジャラート州議会選挙~モディ政権の改革成果が問われる
インドの次回国政総選挙は2019年と未だ先であるものの、今年12月に実施されるグジャラート州議会選挙に向けて関心が高まっている。議席数が多く注目を集めるグジャラート州に加え、ヒマーチャルプラデシュ州及びその他インド北部の比較的小規模な州の世論調査結果は11月に発表される予定である。
グジャラート州では、モディ首相率いる国政与党・インド人民党(BJP)が1995年以降、優勢を維持してきた。12月9日、14日実施のグジャラート州議会選挙は直近の10月25日に告示されたにも拘わらず、票獲得に向けた各政党の選挙活動は活発に行われている。
モディ政権がこれまでに実施してきた構造改革は、インド経済に短期的にはネガティブな影響をもたらしたこともあり、12月のグジャラート州議会選挙は、モディ首相の再選を賭けた2019年総選挙の試金石と見られている。
2017年7月に導入が開始された「物品サービス税(GST)」並びに2016年11月に突如実施された高額紙幣廃止の影響は足元の経済活動に一部混乱をもたらしており、野党はこの短期的な景気鈍化を批判することで、次期総選挙での政権交代の足がかりを狙っている。
モディ首相はBJPの選挙活動支援のため、ここ数週間で州議会選挙が実施される複数の州を遊説している。BJP率いるモディ内閣は、グジャラート州での開発計画を複数打ち出すなど、有権者へのアピールを図っている。この間、GST委員会は、27分野の物品の減税に加え、一部には電子ファイリングシステムでの報告頻度を月次から四半期に変更するなどの措置を実施している。
【編集 : AO】
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