【インド】新年度予算案は高成長路線志向、財政赤字目標値を拡大も財政健全化路線は維持-HSBC投信
Global News Asia / 2018年2月3日 5時45分
2018年2月2日、HSBC投信は、1日に発表されたインド政府の2018年度予算案について、高成長路線志向、財政赤字目標値を拡大も財政健全化路線は維持とのレポートを伝えた。
(レポート)インド財務相は2月1日、2018年度(2018年4月-2019年3月)予算案を発表
-来年春の総選挙を控え積極財政路線維持。インフラ投資、農村・地方経済の活性化に重点
-2018年度の財政赤字の目標値は従来より拡大するも、長期的な財政健全化路線は維持
2018年度予算案のポイント
インドのジャイトリー財務相は、2 月1 日(木)、2018年度(2018年4月-2019年3月)の政府予算案を発表しました。
2019年春の下院総選挙を控え積極財政を打ち出しており、2018年度の歳出総額は前年度比約10%増の24兆4,000億ルピー(約42兆円)。
1.高成長志向、財政赤字目標はやや拡大
政府は引き続き高成長路線を志向しており、インフラ投資や地方経済の活性化を通じて経済成長を押し上げることを目指しています。
一方、2018年度の財政赤字の対国内総生産(GDP)比は3.3%とし、従来目標の3.0%から赤字拡大方向へと修正したものの、2017年度見込みの3.5%相当(従来目標の3.2%から修正)からは縮小させる計画です。また、2019年度、2020年度の目標値は各々3.1%、3.0%とし、長期的な財政健全化路線を維持します。
2.農村・地方向けに重点配分
政府は農村支援強化に向けて農業向け予算を13%増やしました。モディ政権は2022年までに農村所得の倍増を目指しており、2018年度予算案では、最低支持価格(MSP)を引き上げ、生産コストの1.5倍以上としました。また、農村向け融資の拡充、農産品輸出の自由化などの農業支援策も打ち出しています。
3.インフラ整備に積極投資
インフラ整備は引き続き優先課題であり、2018年度には、インフラ整備に前年度比21%増の約6兆ルピーを支出するとしています。特に鉄道及び道路には各々22%、11%増の予算を充てています。また特に地方のインフラ整備に重点配分しています。
4.法人税引き下げ、長期保有のキャピタルゲイン課税再導入
法人税は、中小企業(売上高25億ルピー(約43億円)以下)向け税率を30%から25%に引き下げました。他方、株式投資では、1年超の株式保有で得た10万ルピー(約17万円)を上回る利益に10%のキャピタルゲイン課税が再導入されました。
HSBC投信の見方 高成長重視路線を評価、財政収支の動向を注視
政府が2018年度財政収支の赤字目標値を拡大したことが嫌気され、1日(木)の金融市場では、債券市場が下落し5 年物国債利回りが0.14%上昇、通貨ルピーも対米ドルで0.7%下落しました。株式市場は、積極財政の報道に一時買われたものの、長期保有のキャピタルゲイン課税再導入の発表がマイナスに働き、前日比-0.2%で取引を終えました。
2018年度予算案は、政府の高成長志向を確認する内容であり、農村向け予算の重点配分は個人消費を押し上げ(約13億人の人口の約7割は農村に居住)、またインフラ投資への積極投資も経済成長を後押しすることが見込まれます。
財政赤字目標は、2018年度は従来より増える見通しとなりましたが、長期的な財政健全化路線を維持しており、今後の動向を注視します。
【編集 : AO】
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