ほくそ笑む・金正恩委員長の電撃訪中 先代と同じ厚遇することで北朝鮮の後継者として容認ー中国政府
Global News Asia / 2018年3月29日 20時30分
2018年3月28日、北朝鮮の金正恩委員長が25日に極秘に中国を訪問し28日に金委員長らが出国すると同時に中朝国営メディアが金委員長の北京訪問と習近平国家主席と会談したことを報じた。
『新華社』には非公式訪問であることを強調するように冒頭に書かれている。その後に出された新華社の論評では具体的な会談内容や金委員長の北京での訪問先、意義についてなどが3600文字を超える長文で掲載されている。
果たして一般の中国人がこの論評を熱心に読むくらい北朝鮮に関心があるかと言えばノーである。それでも中国政府が成果をことさらアピールする必要があったということだろう。非公式を強調しているのは、論評でも触れられている通り2国間の関係を重視したもので、だから秘密裏の訪問だったことを正当化させたい思惑がある。
表では伝えられていないが、中国側の狙いを考察してみると、今回の金正恩委員長の電撃訪中は、中国側の招待だった可能性が捨てきれない。中国としては、北朝鮮のキャスティングボードを取り返すことでロシアや韓国、アメリカの中で薄まりつつあった朝鮮半島での存在感を復活させること。アメリカとの貿易問題が表面化する中国にとっては、5月に控える米朝会談も影響している。
一方、金正恩委員長が訪中要請に応じたのは、飛行機好きとされる金委員長があえて先代と同じく鉄道で訪問し、中国側は情報の徹底統制を敷くなど、先代である金正日総書記の2010年、11年の訪中とまったく同じ対応で異例とも言える厚遇をしたこと。これは北朝鮮にとっては、金正恩委員長が金正日総書記の正式な後継者と認めたことを意味し、本来は世襲を嫌がっていたとされる中国からのお墨付きをもらったことは、体制維持を万全にし、肯定化する後ろ盾を得た北朝鮮にとっては非常に大きな収穫と言える。
2011年末、事実上の北朝鮮のトップ就任後も、外国訪問をしてこなかった金正恩委員長が初めての外国として、中国を訪れたことは、ロシア、韓国、そして、何よりも一番の関心事であるアメリカを出し抜くことに成功し、中国はメンツをさぞ満足させたことだろう。
【編集 : 中野 鷹】
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