ラオスの農業政策 -ラオスが目指す「クリーン農業」と商業的生産農業の実現に向けて-
Global News Asia / 2018年6月7日 9時15分
2018年5月29日、JICAラオス事務所発行のニュースレター"LAOS UPDATE Vol.23に『JICA農業政策アドバイザーに聞くラオスの農業政策 -ラオスが目指す「クリーン農業」と商業的生産農業の実現に向けて-』が掲載された。
(記事)ラオスの国民は約7割が何らかの形で農業に関与していますが、ラオスの農業政策はどのような方向を目指しているのでしょうか。JICAによる具体的な貢献に触れつつ、その一端をご紹介したいと思います。
現在のラオスの農林業政策は、第8次農業林業開発計画に基づいて進められています。2017年に農林省の組織改編が決定され、農林行政を農林省に一元化するとともに、地域開発行政も同省に統合されることになりました。この組織改編を踏まえ、農林省は(1)国家食料安全保障、(2)商業的農業生産、(3)森林・森林資源管理及び開発、そして(4)地域開発及び貧困撲滅の4つのプログラムに基づいて政策を進めようとしています。
農業に直接関連する上記(1)及び(2)のプログラムは以前から農林省が取り組んできている政策課題ですが、2000年前後に米の自給を達成してからは、徐々に(2)に重点が移りつつあります。米については、2020年までに470万トンの生産を達成し、このうち100万トンを国内販売及び輸出に振り分けるとしています。しかし、中国への本格的な米の輸出を2015年から開始しているものの品質基準を満たすことができず、中国からの割り当て数量を大きく下回る量しか輸出できていません。また、農林省は、有機農業、農業生産工程管理(GAP)などによる「クリーン農業」を強力に推進しています。ラオスでは、化学肥料や農薬が多投された農地が未だ少ないという現状を活かした政策と言えます。有機農業は、首都ビエンチャンなどで生産者の取組が進み、一方で有機農産物を選好する国内の消費者も増えつつありますが、今後さらに有機農産物生産と併せてその市場の拡大も着実に進めていく必要があります。このような現状を踏まえ、JICAでは、2017年からサバナケット県における灌漑農業及び首都ビエンチャンを含む4都県におけるクリーン農業発展のための技術協力を行っています。両協力とも農業生産面のみならず、市場までを見据えた活動を展開することとしています。
また、商業的農業生産の促進には民間企業の関与は欠かせません。民間企業からの要請に応えることを繰り返すことにより生産者が鍛えられ、競争力のある産品を提供できるようになるからです。日本には進んだ技術により品質や付加価値の高い農産物及び加工食品を生産している企業が多数存在します。このような日本企業のラオスにおけるビジネス展開を支援するため、2017年に在ラオス日本国大使館、JETRO及びJICA(いわゆる3J)が連携して「ラオス農業ビジネスプラットフォーム(LABP)」を立ち上げました。LABPでは、農業ビジネスに関連する情報提供・共有の他、3Jによる支援策や試験栽培に関する相談に応じるなどの活動を行っていくこととしています。
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