NHKや官民ファンド、ミャンマーのテレビ局を運営 日本文化浸透目指す 「おしん」も投入
Global News Asia / 2018年6月27日 9時15分
2018年6月25日、NHKグループや官民ファンドが出資して、ミャンマーのメディア大手シュエタンルイングループと共同経営するメディア企業「ドリームビジョン(DVC)」が発足し、記念式典を開いた。日本勢が出資する合弁企業がミャンマーの地上波テレビ局「ミャンマーナショナルテレビ(MNTV)」を実質的に運営することになる。ドラマや音楽など日本のコンテンツの普及を後押しすることを目指している。
ドリームビジョンには、約1,600万ドル出資する海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)、約1,400万ドルの海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)など官民ファンドに加え、NHKグループの日本国際放送(JIB)も出資する。ミャンマー側はシュエタンルイングループの2社が土地や放送機器などを現物出資している。同グループ傘下のMNTVの番組の編成や制作などを独占的に行い、スポンサー収入で利益を生み出す仕組み。テレビの電波の送信などハード面を除いて、同社がMNTVを丸ごと運営するイメージだ。
同日の式典で、1990年代にミャンマーで人気を博した「おしん」を8月からMNTVで放送するほか、ミャンマーの伝統格闘技ラウェイをテーマにしたスポーツ番組の制作を発表。また、日本でも人気上昇中のミャンマー人タレントの森崎ウィンさんの冠番組「ウィンズ・ショータイム」も制作中。コメディアンがミャンマーに移住する番組も予定している。
ミャンマーでは、長く続いた軍事政権でテレビ局の統制が厳しく、国民のテレビ離れを招いたうえ、厳しい弾圧でメディア人材が極端に少なくなっている。2011年の民政移管以降の規制緩和によって、テレビ局が次々と誕生しているが、人材や資金の不足から人気のある番組は少ないのが実情だ。こうした中で、韓国ドラマなどが地上波で数多く放映されて人気となっているほか、英国のサッカー・プレミアリーグが衛星放送で流れるなど、各国がコンテンツの売り込みに躍起になっている。同社は「NHKだけでなく、広く日本の良い番組を調達する」としており、日本コンテンツ普及の突破口になることが期待される。
【取材・執筆 : 北角裕樹】
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