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【インド】農村振興に焦点、来年の総選挙対策ーHSBC投信

Global News Asia / 2018年8月1日 10時0分

トピックス2:来年の総選挙を控え、政府は農村振興に焦点

 インドでは2019年5月までに下院総選挙が行われる。その前哨戦で政府・与党は、様々な州選挙において主要な選挙争点として浮上した農村経済浮揚策と農家救済策に焦点を当てた動きをみせている。

 7月上旬、政府は農家収入を増やすためにカリフ(雨季蒔き)作物の政府買い取り最低保証価格(MSP)を生産費の最低1.5倍に引き上げた。現会計年度(2018年4月-2019年3月)のMSPの前年度比上げ幅は加重平均ベースで14.8%となり、前年度の6.1%を大きく上回った。

 MSPは一種のセーフティネットである。作物の市場価格が急落すれば、政府が農家から作物を買い取る救済策が適用される。MSPは作物別に決められる。MSP制度があるので、農家は生産した作物を市場価格で自由に売却し、市場価格がMSPを下回れば政府に最低保証価格で買い取ってもらえる。MSPは毎年種まき作業が始まる時期に、農業費用価格委員(CACP)の勧告に基づいて決定される。

 MSP引き上げ幅が高ければ、理論的には物価を押し上げ、財政を圧迫する要因となる。しかし、実際の影響は、引き上げ幅ではなく、「実効買い取り」(effective procurement)と呼ばれるメカニズムによって決まる。具体的には、MSPは20種類を超える作物を対象とするが、実効買い取りの適用は、米、小麦、綿花の3種類に事実上限定している。

 今回のMSP引き上げは、「実効買い取り」を考慮に入れないで計算すると、物価に0.2~0.3%、財政収支(対GDP比)に0.05%の影響をもたらすという試算がある。しかしながら、「実効買い取り」を考慮すると、物価は0.7~0.9%上昇し、財政収支は0.2~0.3%悪化することになる。

 MSP引き上げのほかに、インドには化学肥料補助金制度があり、政府は灌漑及び農村部インフラの整備・拡充も公約している。さらに、州政府の中には農村経済の浮揚策の一環として農家に対して債務免除策を導入したところもある。

 これらの農家支援策の多くが農村経済の早期回復につながるとみられている。そこに、モンスーン期に十分な降雨があれば、今年は農村部の持続的改善が確かなものになることが予想される。このように、インドではモンスーン期の降雨状況がしばしば大きなニュースとなる。とりわけ、降雨量に今後を左右される農家や企業、さらには政府は、モンスーン期が終わるまで空模様に一喜一憂し続けることになる。
【編集 : PK】


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