HSBC投信-インド債券市場:投資チャンスと留意点・運用担当者への単独インタビュー 1.
Global News Asia / 2018年9月20日 7時15分
2019年5月までに行われる総選挙を巡る不透明感も、一部の投資家にとり懸念材料となっている。しかし、実際には総選挙の結果が国内経済や債券市場にマイナスの影響を及ぼすとみる根拠は乏しく、また、こうした政治イベントに対する見方が過度に弱気に傾いた結果、投資家に良好な投資機会がもたらされることもある。
一段の利上げはあるか?
追加利上げの可能性は残されている。しかし、債券市場を見る上で、以下の二点を念頭に置く必要がある。一つは、中央銀行は、国内経済の強さが需要と供給の不均衡やインフレ圧力の高まりに繋がる可能性があることを利上げの主な根拠としている。従って、利上げにより国内経済のファンダメンタルズが悪化することはないとも言える。二つ目として、将来的な利上げは既に市場に織り込まれ、債券利回りが一段の利上げを想定した水準になっているという点も指摘すべきだろう。政策金利と10年物国債利回りとの格差は1.5%前後であり、過去5年間で最大となっている。
また、6月と8月に2会合連続の利上げを行った後だけに、中央銀行はその影響を見極めるため、当面は様子見姿勢を続けることが考えられる。その間にインフレ率が低下を続け、国内経済が弱含めば、今回の金融引き締めサイクルでの利上げが打ち止めとなる可能性もある。
インドルピーは安定化するか?
インドルピーの対米ドル相場は過去最低水準にあり、年初から12%前後下落した。原油価格の平均が1バレル当たり75米ドルで推移すれば、経常赤字の対GDP比は2017年度(2017年4月-2018年3月)の1.9%から2018年度には2.7%へ拡大することが見込まれる。原油高と直近の新興国市場下落の波及効果によって、インドの国際収支は恐らく5年振りに赤字に転じるだろう。来年には改善が予想されるものの、国際収支の悪化は為替レートの見通しに悪影響を及ぼすだろう。
しかしながら、インドの外貨準備高は潤沢であり、8月末時点で4,000億米ドル程度の水準にある。これはインドルピーが堅調に推移していた過去数年にわたりインドが着実に外貨準備を蓄積してきた結果である。この外貨準備が通貨安を緩和し、相場が下落した際には大きな支えとなる。また、投資家のリスク選好度が強まり、米ドル安が進行すれば、インドルピーは上昇が見込める。
【編集 : KH】
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