新興国通貨不安がインドに波及ーHSBC投信
Global News Asia / 2018年10月4日 13時45分
資本流出と中央銀行による米ドル売り・ルピー買い介入により、ルピーの流動性はさらに低下した。これに対し、中央銀行は公開市場操作を通して金融システムに流動性を注入し、預金準備率のルールを緩和した。原油価格が現在の水準で安定化すれば、インドの経常赤字は2018年と2019年を通してほぼ横ばいで推移すると予想される。原油価格が下落すれば、経常赤字が改善することは言うまでもない。また、市場関係者の間では、2019年の総選挙が終われば、インドへの証券投資が増大し、資本の流出は大幅に減少、国際収支も安定化するという見方がある。
ルピー安は輸出にはプラスに働くが、投資家の群衆行動が資本流出を加速させ、ルピー相場の過度な変動や急落に繋がるリスクがある。この状況を回避するため、政府は以下の資本流入促進策を発表した。
- 外国人投資家の社債投資について、単一企業グループに対する20%の上限を撤廃、単一企業に対する50%の上限比率は見直し。
- インド企業が2018年度(2018年4月-2019年3月)に発行するルピー建外債(マサラ債)の保有にかかる源泉徴収税を免除、国内銀行によるマサラ債のマーケット・メイクの規制撤廃。
- 製造業による5,000万米ドルまでの対外商業借入(ECB)の最低償還期間を3年から1年に短縮。
- ECBを通じたインフラ・ローンの強制ヘッジ条件の見直し。
投資家の主たる懸念は国際収支の赤字にあり、その対策としては経常赤字の縮小が鍵となる。政府は9月27日、輸入額が輸入全体の約3%を占め、国内総生産(GDP)の約0.5%に相当する19品目の輸入関税を引き上げた。また経常赤字を抑える次の対策として、非必需品の輸入抑制と輸出拡大を検討していることを示唆した。しかし、経常赤字削減には、内需抑制のための財政・金融両面からの引き締めが不可欠であることは言うまでもない。
【編集 : KH】
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