【ミャンマー】NLD次回総選挙は黄信号 それでもスーチー頼らず「議席8割獲得目指す」
Global News Asia / 2019年6月8日 9時15分
2019年6月8日、ミャンマーの与党・国民民主連盟(NLD)への熱狂的な支持は、経済停滞とロヒンギャ問題の行き詰まりで陰りを見せる。次回の2020年選挙では憲法の規定で、NLDの実質的リーダーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相は政党活動に参加できない。厳しい選挙が予想される中、NLD広報担当のミョーニュン氏は「民選議席の8割獲得を目指す」と強気の目標を明らかにした。
国軍系の連邦団結発展党(USDP)に大勝した2015年総選挙では、NLDはスーチー氏を前面に押し出した選挙運動を行った。しかし2020年選挙では憲法の規定で、閣僚のスーチー氏は政党活動に参加できない。さらに現在のNLDは政権の運営に人員が割かれており、前回のように党員を総動員して選挙運動に臨むことができない。同氏は具体的な選挙戦略は明言しなかったが、ミョーニュン氏が示す「民選議席の8割」は、議席の25%が軍人枠に充てられるミャンマーの国会で、両院議席の6割に相当する。これは地滑り的に勝利した前回選挙と同水準で、熱狂が覚めた現在では、楽観的な目標ともいえる。
ミョーニュン氏は経済とロヒンギャ問題では結果を出せていないと認める。USDP政権時よりも経済成長率は1ポイント近く落ち、発展の実感がある国民は少ない。またロヒンギャ問題では非難を強める国際社会と「反ロヒンギャ」感情の強い国民との板挟み状態だ。国境地域の管理や警察組織は国軍の下にあり、NLDが介入しにくい分野だ。
2018年の補欠選挙でNLDはカチン州やチン州など地方議会と国会で合計4議席を落とした。また第三勢力の成長も進む。少数民族カチン族の政党4党が合併し、カチン州党(KSP)になり勢力を増している。他には元軍政ナンバー3でありながら、スーチー氏と関係が深いシュエマン氏によって連邦改善党(UBP)が結党された。ミョーニュン氏は他政党と手を組む予定はないと述べるが、反USDPの票が割れればNLDにとっては脅威だ。2020年を境にNLD一強体制が崩れるかもしれない。
【取材/執筆 : 鈴木蒼】
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