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インド「与党圧勝でモディ政権の基盤強化」不透明感後退ーHSBC投信

Global News Asia / 2019年6月4日 13時0分

 また、インド準備銀行(中央銀行)は4月の金融政策委員会で2会合連続となる利下げを行った。2月の利下げに続くものだが、金融政策の効果波及は引き続き遅い。原油価格上昇と平年を下回る恐れのあるモンスーン期(6月~9月)の降雨量も景況感にマイナスの影響を及ぼす懸念がある。

 しかしながら、総選挙で与党が圧勝したことで、モディ政権は強力な支持基盤をテコに、インド経済が抱える様々な問題に積極的に取り組むことが可能となった。

 モディ政権は、7月に発表予定の2019/2020年度(2019年4月-2020年3月)本予算では、財政規律を堅持し、財政健全化に引き続き取り組む方針を明らかにすると予想される。しかし、インド経済の現況を考えると、政府は景気のてこ入れと需要回復を優先すべきと思われる。

 政府がなすべきことは、農業従事者の所得向上、投資・景気循環の回復の後押し、貸出状況の改善、物品サービス税の微調整、直接税の簡素化、輸出促進、インフラ投資の拡大と多岐にわたる。

 金融セクターの改革では、企業の破綻処理手続きの円滑化による銀行の不良債権削減の促進、国営銀行の統合や民営化が主要課題となるだろう。

 さらに、中央銀行による超過準備金の国庫納付が考えられる。これが実現すると、政府はこの資金を国営銀行の資本再編とインフラプロジェクトに充てることができる。これに関しては、中央銀行が維持する準備金の適正水準を検討する委員会(座長はビマル・ジャラン元インド準備銀行総裁)が6月までに報告書をまとめることになっている。

 厳しい財政状況、景気減速がさほど深刻ではないこと(国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行、インド準備銀行の2019/2020年度(2019年4月-2020年3月)成長率予測はいずれも7%台)を考えると、直接的な景気刺激策が打ち出される可能性は低い。経済成長率は、総選挙に伴う不透明感が払拭され、しかも銀行セクターの流動性改善が期待される2019/2020年度下半期(2019年10月-2020年3月)に緩やかに上昇する可能性が高い。

 インドは多くの社会改革の課題を抱えている。モディ政権は今回の総選挙で、複雑で困難な構造改革に弾みをもたらす政権基盤を確立した。とりわけ改革が急がれる土地取得や労働規制などが議題に上がる可能性が出てきた。
【編集 : WY】


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