【ミャンマー】少数民族地域の支持、ビルマ族地域の半分 与党NLD、市民団体の世論調査で判明
Global News Asia / 2019年7月27日 7時15分
2019年7月26日、ミャンマーの市民団体「信頼できる選挙のための人民連合」はヤンゴンで記者会見し、2020年に予定されている総選挙について世論調査の結果を発表した。ミャンマーではこうした調査は珍しい。
2015年の総選挙で圧勝して政権の座についた与党の国民民主連盟(NLD)について、少数民族地域での信頼度が低いことが判明した。アウンサンスーチー国家顧問が実質的に率いるNLDの次期総選挙での課題が、シャン州などの少数民族地域にあることが、数字で裏付けられた形だ。
調査によると「どの政党が最も自分の利益を代表しているか」という設問について、NLDと回答した有権者の割合は、ビルマ族が伝統的に多く住む地域(7つの管区)では39%だったのに、少数民族が多く住む地域(7つの州)では18%と半数以下だった。アウンサンスーチー国家顧問については、ビルマ族地域では78%が「信頼できる」と答え高い信頼度を示したが、少数民族地域では同様の答えが49%にとどまるなど大きな差が出た。一方で少数民族政党については、シャン民族民主連盟(SNLD)はシャン州では23%が「肯定的」で「否定的」と答えたのはわずか5%だったのに対し、ビルマ族地域では肯定的、否定的の双方が10%と拮抗した。
NLDは当初、軍事政権を終わらせることができる唯一の勢力として少数民族からも一定の評価を得ていたが、2016年に政権の座について以降、ビルマ族の英雄であるアウンサン将軍の像を少数民族地域に建てようとしたり、橋に同将軍の名前をつけたりして、少数民族の不評を買った。少数民族武装勢力との和平交渉が停滞していることも、NLD政権に期待していた少数民族が不満を抱く要因になっている。これまでの補欠選挙でも、NLDは少数民族地域で苦戦しており、2020年の選挙でNLDが単独で政権を維持できるかどうかは、少数民族がカギとなるとも言われている。
調査は、2019年3月に対面形式で行われたもので、18歳以上の男女約3000人から回答を得た。ミャンマーでは、公式に135の民族が認められている。約5000万人の人口の約7割がビルマ族で、そのほかはシャン族やカレン族、ラカイン族などの少数民族で構成されている。
【取材・執筆 : 北角裕樹】
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