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インド株式市場は国営企業の民営化に注目ーHSBC投信

Global News Asia / 2019年11月9日 6時15分

 10月上旬には、鉄道チケット販売・売店・食堂サービスを提供する国営企業が新規株式公開(IPO)で9,090万米ドル(約99億円)相当の資金を調達したが、その応募倍率はインドの国営企業IPO史上で最も高い112倍であった。このIPOは、インド経済の減速と消費需要の落ち込みを懸念する声が高まる中でも投資家の関心が極めて高かったという点で特筆に値する。

 一方、政府は民営化の代替案も用意しているが、投資家の評価はそれほど高くない。代替案は、政府が保有する国営企業の株式をETF(上場投資信託)を通じて売却する、国営企業同士が政府保有分を取得して株式を持ち合う、というものだ。今年度に予定している国営企業の民営化が計画どおりに達成できない場合、政府はETFを通じた株式売却または国営企業間の株式持ち合いに踏み切って、当初目標を強引に達成する動きに出ることを市場は懸念している。

「山積する圧力」
 国営企業の民営化の決定とその実行には、政治的障害から労働組合や他の利害関係者との長期におよぶ交渉まで、様々な複雑な問題が立ちはだかる。その他にも、複雑な事業形態の正確な把握、政府による経営への介入の懸念、第三者による訴訟の可能性など、買い手の意欲を削ぐ要因は多い。

 さらに、赤字体質の国営企業の場合は、買い手を見出すのは特に困難となる。例えば政府は、2018年に国営航空会社の株式売却を目指したものの買い手がつかず、民営化計画は頓挫した。同社はインドの代表的な航空会社だが、巨額の負債を抱え、2012年以降、税金を注ぎ込んだ再建計画のおかげで運行を続けている。モディ政権は同社の民営化を再度試みると言われている。

 国営航空会社の民営化が頓挫したことを受けて、政府は同社の負債を管理可能な水準まで減少させることに着手するとともに、労組との複雑な交渉を開始している。すべては、買い手から見て、より魅力的な航空会社にするためだ。

 国営航空会社の株式売却は、モディ政権にとって依然として極めて困難な課題だが、政府の最近の取り組みから判断すると、この民営化計画の目玉となる案件を何としても実現させたい現政権の決意がうかがえる。
【編集 : UH】


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