1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. アジア

インドの短期経済見通しに懸念<HSBC投信レポート>

Global News Asia / 2019年12月13日 6時0分

 しかしながら、ノンバンクの流動性危機を中心とする信用不安問題、金融緩和策の限定的な波及効果、脆弱な財政基盤、設備投資と雇用の落ち込み、世界的な需要・貿易の先行きへの懸念を考慮すると、実際の成長率は見通しを下回る可能性がある。

 総合消費者物価上昇率は、野菜や豆類を中心とする食品価格の値上がりにより、中央銀行の中期目標値である4.0%を上回ったが、食品と燃料を除くコア・インフレ率は安定している。HSBC投信は、短期的には国内需要の低迷によりインフレ・リスクは抑制され、食品価格への供給面からの上昇圧力も徐々におさまると予想している。

 財政上の制約
中央政府の財政が悪化するリスクは高い。歳出見通しに対する歳入不足(すなわち財政赤字額)は2019年度前半に、ほぼ予算上の赤字額の92.6%に達した。これは昨年並みのペースである。ただし、中央銀行から国庫に移管された配当金を除外すると、赤字額は予算の113%に上る。

 税収総額の伸びは前年同期比で1.5%と、過去10年で最低の伸びにとどまったのみならず、予算編成時に設定した最高目標の17%をも著しく下回った。主な理由は間接税の税収減で、中でも物品サービス税(GST)は政府目標を大きく割り込みわずか2.3%増だった。直近の税収には最近の法人税率引き下げは含まれていないにもかかわらず、法人税などの直接税の税収も大きく落ち込んだ。

 HSBC投信は現時点では、法人税率引き下げの歳入への影響について、当初の見込みより小さくなるという見方を変えていないが、経済成長の減速が直接税の税収に及ぼす影響は予想より大きくなる恐れがあると懸念している。

 一方、歳出面では、農家所得向上計画に伴う支出は受益者の確定作業の遅れがネックとなって実際の支払い額が予算額を相当下回ったままだが、公共投資の増加によって、歳出規模は拡大傾向にある。

 政府は、競争激化による収益悪化に苦しむ移動通信事業会社への一時的な救済措置として、2019年度および2020年度分の周波数使用料の国への納付について繰り延べを認めると発表した。この2年間の支払い猶予は、インド最高裁が通信会社に過去に滞納してきた周波数使用料の支払いを命じたことを受けたものだ。最高裁の命令が実行されれば今年度の歳入が増えるのは確かだが、翌年度の歳入は、第5世代移動通信(5G)周波数の入札がなければ、再び減少する恐れがある。

 明るい話題としては、政府による政府保有株式放出計画の拡大がある。それが財政状況の短中期的な改善をもたらすと期待されている。具体的には、国内2位の国営石油精製会社と国内1位の海運会社の全保有株を売却する。他の国営企業の一部については株式の政府保有率を51%以下に減らすことも決定した。
【編集 : KO】


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください