【ミャンマー】WHO職員が射撃で死亡 内戦激化のラカイン州で新型コロナ検体運搬中
Global News Asia / 2020年4月22日 7時15分
2020年4月20日、内戦が続くミャンマー西部ラカイン州で、新型コロナウイルス感染を検査するための検体を運んでいた世界保健機関(WHO)の車両が何者かに銃撃され、ミャンマー人職員の男性運転手が死亡した。内戦の当事者であるミャンマー国軍とラカイン族系武装勢力のアラカン軍は、いずれも関与を否定している。
WHOの発表や現地の報道によると、WHOの車両はラカイン州シットウェからヤンゴンに向かう途中のミンビャ付近で銃撃を受け、運転手のペーソンウィンマウンさん(28)が死亡した。別の医療関係者も銃撃で負傷し、病院で手当てを受けている。ミャンマーの保健スポーツ省を支援する活動の一環で、車両には国連マークが記載されていたという。内戦当事者の双方が関与を否定して敵方を非難しており、事件の詳しい状況は明らかになっていない。
ラカイン州では、仏教徒のラカイン族の自治権拡大を訴える新興武装勢力のアラカン軍と、同軍の殲滅を目指すミャンマー国軍が内戦を繰り広げており、今年3月ごろからミンビャ付近で戦闘が激化。ミャンマー当局はアラカン軍をテロ組織として指定し、支援者を含めて取り締まりを強化している。
現地では戦闘によって死傷者や国内避難民が出ていることに加え、内戦を理由にインターネットが切断されていることから正確な情報が伝わらず、新型コロナウイルスに対し十分な対策ができない可能性が指摘されている。アラカン軍や別の一部の武装組織は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて停戦を呼び掛けたが、国軍側は応じていない。
こうした中でWHOの職員に犠牲者が出たことで、今後の支援活動が困難になる可能性がある。日本政府は3月、ラカイン州北部のマウンドー市民病院に対して支援を行うことを決めている。
【取材・執筆 : 北角裕樹】
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