ロヒンギャ系武装勢力が国境警察を越境攻撃か ミャンマー政府側が発表 4月末にも銃撃戦
Global News Asia / 2020年5月5日 6時45分
2020年5月2日、ミャンマー西部のラカイン州で、イスラム系住民ロヒンギャ系武装勢力「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」がバングラデシュ側からミャンマーの国境警察を攻撃したと、ミャンマーの国軍司令官事務所が発表した。この攻撃で警察官2人が負傷したという。ミャンマー側はARSAが活動を活発化させているとして警戒を強めている。
同事務所やミャンマー外務省などによると、ラカイン州のミャンマー―バングラデシュ国境で5月2日午前7時50分ごろ、パロトール中の国境警察がバングラデシュ側にいるARSAの越境攻撃を受けて2人の警察官が負傷、ミャンマー側が増援部隊を呼び反撃した。また、4月29日にも同じエリアで銃撃戦があり、ARSAメンバー2人が死亡したほか、麻薬や爆弾などが押収された。4月15日にはラカイン州北部マウンドーで国境警察がARSAの待ち伏せ攻撃を受けて、警察官1人が死亡している。
同事務所などは、襲撃の詳しい状況や、ARSAの攻撃と断定した根拠を明らかにしていない。また、ミャンマー側の発表に対するARSAの反応は確認されていない。
ARSAは、イスラム教徒のロヒンギャ系武装勢力で、2017年に大規模な攻撃を行なったことからミャンマー国軍が掃討作戦を行い、70万人以上のロヒンギャ難民を出す結果となった。現在、国軍とラカイン州やチン州で激しい戦闘を繰り返している仏教徒のラカイン族系武装勢力「アラカン軍(AA)」とは全く別の組織だ。ARSAは2017年以降活動は下火だったが、同事務所は「5月にミャンマー政府が国際司法裁判所(ICJ)に(ラカイン州の紛争についての)報告書を提出しなくてはいけないことを受け、ARSAは国境地帯を移動しながら扇動行為を行なっている」と指摘している。
【取材/執筆 : 北角裕樹】
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