【ミャンマー】ロヒンギャ帰還難民に初のコロナ感染 違法に国境超え帰国 収容所で発見
Global News Asia / 2020年6月5日 18時15分
2020年6月4日、ミャンマー西部ラカイン州の武力衝突で難民としてバングラデシュに逃れ、その後ミャンマーに帰国したイスラム系住民ロヒンギャの男性が、新型コロナウイルスの検体検査で陽性と診断された。帰国したロヒンギャ難民から感染者が見つかったのは初めて。男性は、バングラデシュからミャンマーへ正規のルートではなく違法に帰国していた。
ニュースサイトのイラワジなどによると、この38歳の男性は家族とともに5人でバングラデシュからミャンマーに入国、5月30日にラカイン州マウンドーの親戚宅に着いたところ、警察に拘束されラポカウン一時収容所に連行された。海外から帰国しているため感染を調べたところ、6月4日に陽性と判明した。
バングラデシュに設けられたロヒンギャ難民キャンプでは感染者が見つかっているが、帰国したロヒンギャ難民から陽性患者が見つかったのは初めて。イラワジによると、ミャンマーとバングラデシュの当局は協定を結び、難民の帰還を進める手続きを進めているが、本人確認の手続きや帰国後の迫害の恐れなどから実際にこのルートで帰還したロヒンギャ難民はいない。正規のルートが機能しない中で、今回の男性のように違法な形で国境を越えミャンマーに戻る難民が600人以上にのぼっているという。
ラカイン州を巡っては、2017年のロヒンギャ系武装勢力の攻撃をきっかけとした国軍の掃討作戦などによって、70万人以上のロヒンギャ難民が隣国バングラデシュに逃れたとされる。国際機関や市民団体などは難民キャンプの衛生状態が良くないことから、新型コロナウイルス蔓延の恐れを指摘している。バングラデシュのコックスバザールの難民キャンプではすでに新型コロナウイルス感染者の死亡例も確認されている。
【取材/執筆 : 北角裕樹】
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