【ミャンマー】国軍系企業との関係に批判高まる キリン系ビール最大手や上場の物流企業
Global News Asia / 2020年6月27日 8時30分
2020年6月27日、ミャンマー国軍との関係が深い企業と協力して事業展開する大手企業が、ミャンマー内外で批判にさらされている。国軍系企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)などと共同で事業を進めることで、結果的に資金が国軍側に流れ人権侵害に使われる恐れがあるという指摘だ。国軍は西部ラカイン州などで大規模な軍事作戦を行いイスラム系住民ロヒンギャら多数の難民を出す結果となったことから強い批判を受けている。市民団体は、大手企業に圧力をかけることで、国軍側の資金源を断ち切ることを狙っている。
MEHLと合弁の形で地元ビール最大手「ミャンマー・ブルワリー」などを運営するキリン・ホールディングスに対し、ヒューマンライツ・ウォッチなど4つの市民団体が5月、MEHLとの提携の解消を求めて申し入れを行なった。ミャンマーの市民団体ジャスティス・フォー・ミャンマーも、ミャンマー・ブルワリーの収益が国軍の人権侵害を後押ししているとの声明を発表している。
キリンは市民団体に対して「事業の収益が軍事目的で使用されないことを条件に合弁契約を締結した」などと回答。これとは別に、大手コンサルティング事務所と契約してMEHLの調査にあたることを発表した。「合弁事業の持分所有について複数の選択肢を検討する」として、現在51%であるミャンマー・ブルワリーの持株比率の変更がありうることを示唆している。
また、5月にヤンゴン証券取引所に上場した物流大手「エバーフローリバー・グループ(EFR)」も、港湾事業を手掛ける関連会社の合弁相手がMEHL関連であることが問題視された。港湾当局などの高官がMEHLの役員を兼ねていることから利益相反の疑いがあるとも指摘されている。EFRは日本の上組などとも合弁事業を行い注目度が高い。ミャンマー政府は記者会見で、利益相反について調査を進める意向を表明している。
軍事政権が長く続いたミャンマーでは、インフラ整備や資源開発、通信など主要産業で国軍系企業や軍とかかわりの深い財閥の存在感が大きく、透明性が低いと批判されている。欧米系の市民団体がミャンマー企業の透明度ランキングを発表し、情報公開を促している。
【取材・執筆 : 北角裕樹】
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