【ミャンマー】選挙公約にロヒンギャ問題言及なし 与党NLDが発表 教育や農業など目玉
Global News Asia / 2020年9月12日 11時0分
2020年9月3日、11月に投票が行われる総選挙に向け、アウンサンスーチー国家顧問兼外相率いる与党の国民民主連盟(NLD)がマニフェスト(政権公約)を発表した。
18項目でなるマニフェストには、西部ラカイン州で難民となり未だ帰国できない70万人以上のイスラム系住民ロヒンギャの難民の問題について言及がなかった。国際的に注目を集める一方で短期的な解決が難しいこの問題に触れないことで、選挙の争点から外す狙いがあるとみられる。
NLDは9月3日に公式フェイスブックで公約を発表。立法、司法、外交、防衛、教育、経済、農業、通信、交通などの18の分野での方針を盛り込んだ。ただ具体的な政策についての記載は少なく、多くは理念や方向性を記すにとどまっている。
農民や農業について多くのスペースが割かれており、農民から違法に土地を収奪することに禁止や、もしそういう場合には政府は過ちを認めて土地を返還したり補償したりすることを盛り込んだ。教育分野では「大学の独立性」を保証する。また、労働法の改正も打ち出している。
外交では「民主主義の価値を守り平和的共存する」と書かれる一方で、国際的に批判されているロヒンギャ難民についての言葉はなかった。
ロヒンギャ問題を巡っては、1月にオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で、ミャンマーに再発防止策を策定を求める仮処分が下されるなど、国内外で関心が高い。ミャンマーの青年市民活動家のシャーヤモン氏(27)は、「NLDは連邦民主主義を掲げる以上、ロヒンギャ問題は公約に盛り込むべきだった。それでは、国軍の行為を擁護しているのと同じことだ。(ロヒンギャ問題の解決を掲げても)公約を守ることが難しいため、入れなかったのではないか」と話している。
【取材/執筆 : リンニャントゥン・北角裕樹】
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