なぜミャンマーでクーデターが起きたのか? -民族的なからくり-
Global News Asia / 2021年2月27日 6時0分
国軍としても、実際には昔の様な軍事政権に戻りたかった訳ではなく、ただ「あまりに急激に軍の力が弱体化することを避け、もう少し議席と権利が欲しかった」というのが本音であろう。そう考えると2月8日の国営テレビを通じ、ミン・アウン・フライン国軍最高司令官が演説で「どこどこの地区に、何票の不正投票の疑いがあった」という説明に、長々と時間を割き、今回の軍政は2011年まで49年間続いたものとは違い、外交政策に変更はない、と主張したことも納得がいく。
しかしミャンマー国民の間でのアウン・サン・スー・チー氏の人気は高く、国民はクーデターを受け入れず『国の母』であるアウン・サン・スー・チー氏の解放を強く求め、今回の件により、皮肉にも、改めて国軍の人気の無さが浮き彫りになる結果となった。
このクーデターに関して、国軍の思惑が外れたことはまだある。例えデモが起きたとしても、いつものように、不安感や怒りの感情を揺さぶれば民衆は暴動化し、暴徒化すれば国の安全の為だといって、軍の力でデモを抑えることができる、と考えていたことだ。
しかし1988年、2007年のデモと違い、2021年のデモはSNSを駆使し、ミャンマー国中が情報を素早く共有し、国民が力を合わせて、極めて平和的なデモを行った。国中が列を組み、医療従事者、物売り、教師、芸能人、サッカー選手、少数民族、LGBT、ボディービルダー、ありとあらゆる職業、立場、民族がお互いを尊重し、一丸となり、人間としての自由を奪われないことを信じ、デモに参加している。
軍政時代、ミャンマーは公正なビジネスの機会も教育の機会も表現の自由もなく、豊かな資源国にも拘わらず、国連より1987年より最貧国として指定されていた。
クーデターの終息地点はまだ見つからないが、ミャンマーのこれからの動きに世界の注視が集まっている。
【編集 : 竹永ケイシロ】
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